【5月】労務情報まとめ 厚労省「同一労働同一賃金」の点検マニュアル、解説動画を公開 / 子ども・子育て拠出金改定 / 雇用関係助成金の不正受給対策が強化
二十四節気では、本日5月21日は「小満(しょうまん)」と呼ぶようです。
『陽気が良くなって、万物の成長する気が次第に長じて天地に満ち始めるころ』とのことですが、実際は今年最大雨量の大雨で陽気が良くなるにはもう少しかかりそうです。
通勤・通学への影響はもちろんのこと、土砂災害の警報も出ている地域もあるようですので、十分にお気を付けください。
今月もSRグループが厳選する人事関連ニュースをお伝えします。
目次
厚労省「同一労働同一賃金」の点検マニュアル、解説動画を公開
「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」を公表
厚生労働省は、働き方改革関連法により、2020年4月から(中小企業は2021年から)、正社員とパートタイム・有期雇用・派遣労働者との間の不合理な待遇差が禁止されることに伴い、「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」をホームページで公表した。マニュアルは、業界共通編と、パートタイム・有期雇用労働者の割合が高い業界(スーパーマーケット業、食品製造業、印刷業、自動車部品製造業、生活衛生業、福祉業、労働者派遣業)別に作成されている。パートタイム・有期雇用労働法および労働者派遣法への理解を促す解説と併せて、各社で点検・検討を進める上でのポイントと手順を具体例とともに示している。
厚労省:不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル)
パートタイム・有期雇用労働法で求められる企業の対応についての解説動画を配信
厚生労働省は、「パート・有期労働ポータルサイト」を通じて、2020年4月から施行されるパートタイム・有期雇用労働法への対応として企業に求められる内容を取りまとめた解説動画の配信を開始した。解説動画は下記の8部構成で、各チャプター別に視聴することもできるようになっている。
[プロローグとチャプター1]法改正の目的と主な改正点について(3分06秒)
[チャプター2]不合理な待遇差をなくすための規定の整備(9分16秒)
[チャプター3]不合理な待遇差をなくすための規定の整備~同一労働同一賃金ガイドライン~(12分38秒)
[チャプター4]参考となる判例(7分14秒)
[チャプター5]労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(6分11秒)
[チャプター6]法改正に対応するための取組手順について(8分26秒)
[チャプター7]裁判外紛争解決手続 『行政ADR』の規定の整備等(1分30秒)
[チャプター8とエピローグ]法改正に対応するための事業主の皆さまへの支援について(2分33秒)
厚労省:改正後のパートタイム・有期雇用労働法について
届出等における添付書類及び署名・押印等の取扱いの変更について
厚生年金保険の適用事務にかかる事業主等の事務負担の軽減を図る目的から、年金事務所に提出する届出等における添付書類及び被保険者等の署名・押印等の取扱いが、以下のとおり変更となった。
◆遡及した届出等における添付書類(賃金台帳の写し及び出勤簿の写し)の廃止
(1) 60日以上遡る場合の資格取得(喪失)届・70歳以上被用者該当(不該当)届
(2) 60日以上の遡り、または5等級以上引き下がる場合の月額変更届
◆被保険者本人の署名・押印等の省略
下記の届書における被保険者本人の署名または押印について、事業主が、被保険者本人の届出の意思を確認し、届書の備考欄に「届出意思確認済み」と記載した場合は、被保険者本人の署名または押印を省略することが可能となった。(電子申請及び電子媒体による届出においては、備考欄に「届出意思確認済み」と記載すれば、委任状の省略が可能)
(1) 被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届
(2) 年金手帳再交付申請書
(3) 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届
日本年金機構:届出等における添付書類及び署名・押印等の取扱いの変更について
子ども・子育て拠出金率を4月から0.34%に改定
子ども・子育て拠出金の拠出率が、4月1日より1000分の2.9(0.29%)から1000分の3.4(0.34%)に改定された。
改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた
改元後も「平成」が印字された「源泉所得税の所得税徴収高計算書(納付書)」は引き続き使用可能。記載に当たっては下記の点に留意が必要。
・現行の納付書に記載されている「平成」の二重線による抹消や「新元号」の追加記載などによる補正は不要。
・平成31年(2019年)4月1日から令和2年(2020年)3月末日の間に納付する場合、納付書左上「年度欄」は「31」と記載。
雇用関係助成金の不正受給対策が強化
参考:雇用関係助成金の不正受給対策の強化について(厚労省)
4月1日から改正雇用保険法施行規則が施行され、雇用関係助成金に係る不正受給対策の強化が盛り込まれた。内容は以下のとおり。
◆不支給期間の延長および対象の拡大
(1) 現状、3年間、不支給としているところを、5年間に延長。
(2) 不正受給を行った事業主の役員等(不正受給を行った者に限る)が、他の事業主の役員等になっている場合は、当該事業主に対しても5年間、助成金を支給しない。
◆違約金相当の新設
(1) 不正受給の返還に際し、現状、助成金等の全部または一部の返還を請求していたが、不正受給額の2割以下に相当する額を新たに課すことができる。
◆不正を行った社会保険労務士等への対応
(1)不正に関与した社会保険労務士等を連帯債務者として、返還請求を行う。
(2)不正に関与した社会保険労務士等については公表する。
(3)不正に関与した社会保険労務士等が行う雇用関係助成金の申請は、5年間受理しない。
在留申請手続のオンライン化が7月からスタート
法務省は、外国人の在留期間更新許可等の申請手続きを、7月25日からオンラインでできるようにすると発表した。
対象となる在留資格は、高度専門職や研究、技能実習など。外国人労働者受け入れ拡大のために創設する「特定技能1号、2号」は当面含まれない。
手続きができる内容は、在留期間更新許可申請、資格外活動許可申請、再入国許可申請。
オンラインは外国人本人は利用できず、受け入れ先の職員、弁護士、行政書士が利用できる。利用には事前申し出が必要。受付は3月29日から開始している。
日中社会保障協定が発効
昨年5月に署名された日中社会保障協定が発効された。現在、日・中両国の企業等からそれぞれ相手国に一時的に派遣される企業駐在員等には、日・中両国で年金制度への加入が義務づけられており、年金保険料の二重払いの問題が生じている。この協定により、派遣期間が5年以内の一時派遣被用者は、原則として、派遣元国の年金制度にのみ加入することとなる。効力は9月1日から。
厚生労働省 平成 30 年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表
今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる 8,494 事業場に対して集中的に実施。その結果、5,714 事業場(全体の 67.3%)で労働基準関係法令違反を確認し、そのうち 2,802事業場(33.0%)で違法な時間外労働が認められ、是正に向けた指導が行われた。
厚生労働省:平成30年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表
みずほ情報総研レポート「定年後再雇用者の「職務・働き方」と「賃金」のバランスを考える」
定年後再雇用者の処遇と労働意欲に関するレポートが発表された。内容は次のとおり。
・役職や賃金、福利厚生のいずれについても現役社員に対する仕組みや水準との間に連続性が認めら
れ、期待役割も定年前後で変わらずに「担当者として成果を出すこと」としている企業では、再雇
用者の労働意欲の低下幅が小さい傾向にある
・「高齢社員のパフォーマンスの最大化を図るためにはどうすべきか」を考え、本人が望む場合には
定年前と変わらない労働環境を提供し、労働意欲とパフォーマンスの維持につなげられるだろう
みずほ情報総研レポート:「定年後再雇用者の「職務・働き方」と「賃金」のバランスを考える」
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