借上社宅・所得税の計算方法とは?
弊社では借上社宅制度を導入しております。
給与から家賃の全額を控除していますが、天引きされた家賃同等額は非課税となる認識でおりますが、あっていますでしょうか。
例えば、給与額が290,000円、通勤手当が10,000円で、家賃50,000円を控除している社員については、社会保険料の合計は45,000円程、住民税は15,000円程ですので仮で計算いたしますと、課税対象額は下記のように算出されます。
300,000円(支給合計)ー{10,000円(非課税通勤費)+45,000円(社会保険料)}=245,000円
この245,000円が課税対象額となり、控除欄の「所得税」の項目に6,420円と記載されます。
※「非課税通勤費」という支給項目で10,000円支給し、「通勤手当戻し」という控除項目で10,000円控除することで所得税の計算をしています。
手取りとしては、
300,000円(支給合計)-控除合計{50,000円(家賃天引)+45,000円(社会保険料)+10,000円(通勤手当戻し)+15,000円(住民税)+6,420円(所得税)}=173,580円
となります。
ここで気になったのは、借上社宅の家賃天引き分も「非課税」扱いとなり、課税対象額計算時にマイナスされるべきではないかという点です。
300,000円(支給合計)ー{10,000円(非課税通勤費)+45,000円(社会保険料)+50,000円(家賃分)}=195,000円
この金額で計算すると所得税は4,630円となるのではないでしょうか。
回答
賃貸料相当額とは、次の(1)~(3)の合計額をいいます。
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
社員に無償で貸与する場合には、この賃貸料相当額が給与として課税されます。
社員から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、給与として課税されます。
しかし、社員から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。
また、会社などが所有している社宅や寮などを貸与する場合に限らず、他から借りて貸与する場合でも、(1)~(3)を合計した金額が賃貸料相当額となります。
したがって、他から借り受けた社宅や寮などを貸す場合にも、貸主等から固定資産税の課税標準額などを確認することが必要です。
まず、社員より全額控除を行っている場合には、上記のとおり所得税は課税されません。
次に「借上社宅の家賃天引き分も「非課税」扱いとなり、課税対象額計算時にマイナスされるべきではないのでしょうか」というご質問についてですが、
ここでの「非課税」というのは、あくまでも所得税の課税対象としないという取扱いとなりますため、
(支給額合計)300,000円ー{(非課税通勤費)10,000円+(社会保険料合計)45,000円+(家賃分)50,000円}=195,000円(課税対象額)
こちらでは、課税対象としないということではなく、課税対象額より控除を行っていることになります。
このため、給与計算上の処理としましては
(支給額合計)300,000円ー{(非課税通勤費)10,000円+(社会保険料合計)45,000円}=245,000円(課税対象額)
こちらで所得税の計算を行うことになります。
詳細につきましては、税務の専門家である税理士にご確認頂ければ幸いです。
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