【重要】最低賃金対応、本当に万全ですか?
10月1日より最低賃金が改定となり、東京では907円から932円と今年は例年を上回る上げ幅で話題になりましたね。人事担当者の皆様、対応は万全ですか?
万全な対応ができておらずに違反していた場合、労基署からの是正勧告や最大2年間の遡及払い等々様々なリスクが発生します。
最低賃金法違反は実に年間約2,700件に及び、平成26年4月から平成27年3月までの1年間では、なんと都内127企業が割増賃金33億円を遡及支払しています!意図的に最低賃金を下回る給与額を支払っていたわけではなく、正しく時間単価を算出して対応できていなかったために是正勧告を受けるケースもあるようです。
そこで今回は、最低賃金改定に伴う注意点をお伝えします。
今一度万全な対応ができているか要チェックです!
最低賃金についての基本知識
最低賃金とは、文字通り事業所が労働者に対して保障しなければならない賃金の最低額のことをいいます。最低賃金額は、「時間」によって定めるものとされています(最低賃金法3条)。
また、最低賃金には職種別の最低賃金と地域別(都道府県別)最低賃金とがあり、産業別最低賃金の適用がある場合や労働者の住所と勤務先の都道府県が異なる場合等、最低賃金が複数適用される者についてはいずれか高い額が適用されます。
最低賃金は時給制だけの話ではない!
時給制の方は勿論ですが、月給制の方も時間単価が最低賃金を下回らないように対応する必要があります!
月給制の場合は、毎月固定で支払われる基本給や各種手当を月平均所定労働時間で割って算出します。基本給だけではなく、手当等も含めて計算する必要があることに注意が必要です。
ただし、下記のものは除かれます。
《時間単価の基礎とならないもの》
・家族手当
・通勤手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
固定残業制の場合は特に注意!
固定残業制を採用している場合は、固定残業代分は時間単価の計算の基礎には含めません。
従って、同じ給与総額でも固定残業制の場合は時間単価が低くなります。
固定残業時間が多い場合、時間単価が最低賃金を下回ってしまう可能性がありますので特に注意しましょう。
最低賃金法に違反すると・・・
①遡及支払
定期監督で最低賃金法違反が発覚した場合、是正勧告を受け3カ月間遡及して不足分を支払うこととなります。
また、申告監督で発覚した場合は最大で2年間遡及して支払うこととなります。
②司法処分
法違反を繰り返したり、あえて最低賃金額を支払わなかったり、「是正した」と虚偽の報告をするなどの悪質な場合には書類送検の上罰金が科されます。
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、50万円以下の罰金、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、30万円以下の罰金が科されます。
チェックツール、あります!
「うっかりまだ対応していなかった…」
「月給制でも気にしないといけないなんて思っていなかった…」
「対応はしたつもりだけど心配…」
「でも、どうしたらいいかわからないし時間もない…」
そんなお悩みをお持ちの方、簡単にチェックができるツールがありますので是非ご活用下さい!
まとめ
最低賃金法違反があった場合には、遡及支払いや罰金等のリスクが発生します。
意図的ではなくとも、適用される最低賃金額はいくらになるのか、時間単価の算出方法に誤りはないかしっかり確認した上で対応しなければ、意図せず最低賃金違反となり労務リスクに直面します。今一度、対応は充分かご確認下さい!
船水 希恵
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