ドラッカー「会議が多い会社とか生産性低すぎ。組織の構造として間違ってる」
みなさん、会議してますか。日もすっかり長くなり、季節は初夏の兆しを見せていますね。このごろの会議では冷房器具が活躍しているのではないでしょうか。
一般に、会議は短いほうが良いとされていることはご存知かと思います。かのドラッカーも次のように記しています。
知識労働の生産性向上の基本は、行なう必要のないことは行なわないことである。典型が会議である。会議の多くは、事業の発展とはほとんど関係のないことに費やされている。そもそも会議の多い組織は、構造の間違った組織である。あるいは、顧客が価値とするものが明らかでない自信のない組織である。いちいち会議を開かないと心配でならない。組織における他のあらゆる活動と同じように、会議にも目的がなければならない。目的はさっさと果たし、一時も早く閉会しなければならない。会議に出ているあいだは、仕事ができない。
会議を開いていないと心配でならない、とはズバリ言い切りますね。確かに、企業の管理職にある方は、部下の進捗管理を気にして不必要にミーティングを開いていしまうのかもしれません。あるいは、Face to Faceのコミュニケーションを大切にしているであるとか、個々の動きをチーム全体でも共有して一体感を高めようであるといった狙いもあるのかもしれません。しかし、会議に招集されている側からすると「また会議か・・・」とやらされ感満載の受け身な気持ちを持っている人も多く、会議を主催している側と召集されている側でコミュニケーションギャップが起きている企業が多いのではないでしょうか。
会議について次のような考察もあるようです。
参加者の方々は「情報共有」はメールやLINEなどのツールやグループウェアなどでも十分だし、顔を合わせることについても、会議では一方的に上司がしゃべるだけであり、特にコミュニケーションがうまく取れている印象はないという。もちろん、アイデアを出したり、複雑な問題への対処は文字のやりとりよりも直接話したほうが早いので会議は有効だ。しかし、聞けばほとんどの会議は上司の「独演会」となっているようである。つまり、皆の仕事の状況を聞き、それに対してツッコミを入れ、上司の考え方を発表する場。それがほとんどの会議の正体だ。
思わず「あるある」とうなずきたくなってしまう視点です。。企業のマネジメントを行う役割として、自身の価値観や体験を共有することはとても有効なことだと思います。しかし、その共有は本当に伝わっているのでしょうか。タスク進捗管理という面からは、価値観や体験の共有よりも、部下の現状に立脚した、タスクを進捗させるための具体的な策をアドバイスするほうが有効だと思います。
また、会議参加者が価値観や体験の共有に共感しているにも関わらず進捗が良くないとすれば、会議の参加者のタスク管理に問題がある(個人の仕事の仕方が悪い、会社として与えているタスクが多すぎる、職域外のタスクを与えられている等)という可能性があります。こういった場合には、社員の役割分担や業務範囲を再度検討し、チーム単位、部署単位で業務改善を行う必要がありそうです。
また、会議の目的をひとつに絞り込むことも会議の生産性を高めることになることは、ドラッカーも先に行っていたとおりです。セブンーイレブンジャパンでは、全国のFC(フィールドカウンセラー)という職種に対して、2週間に1度、本部に召集を行いTOPから直接に情報発信を行うそうです。会社としての方針を書類やメールで伝えるのではなく、TOPから直接に、その瞬間の表情や語気を含めて伝えて行くということに目的を絞ってFCを召集し会議を運営しているそうです。やはり、会議の目的をひとつに絞りはっきりさせることで、参加人数が多くても質を高め時間通りに終了する会議を作ることができるのだろうと思います。
会議の意義のひとつには、やはり事業やタスクの進捗報告の場としてであるように思います。上司と部下というマネジメント上の役割分担に基づき、現場の進み具合と方向性をマネジメント層から軌道修正したり、現場から進捗の障壁となっている要因を伝え解決策の提案を行う場であると思います。
しかし、一般的に良い報告はしやすく、悪い報告や進捗の遅れといった報告はしずらいもので、本当にされるべき報告がされないままになってしまうこともあるのではないでしょうか。そうなると、良い報告も悪い報告もすべて拾っていくために「管理」としての会議が始まってしまいます。「管理」としての会議こそが、会議の主催者と招集者の間にコミュニケーションギャップを生じさせ生産性の低い会議体を作ってしまう原因の1つです。
報告や連絡、情報共有が自然発生的にそこかしこで起こるような組織であれば、そもそも会議は必要ないのではと思います。一人ひとりが当事者意識を持って自発的に目標に対してアクションし、必要に応じてコミュニケーションが取れるような組織作り、チーム形成を目指したいものですね。次回は、そんな目的に沿ってデザインされたオフィスをご紹介したいと思います。働いていて楽しくなるようなオフィスデザインを、貴社でも取り入れるきっかけになれば幸いです。
< 引用>
http://diamond.jp/articles/-/30485「成果を上げるには仕事の手段としての会議の生産性を上げよ」
堀越 敬太
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