続く採用難・・・あなたの会社はどうしてる?外国人採用のメリットと注意点

現在の日本の労働力人口は少子高齢化にともない、年々減少しています。この深刻な人手不足の中、外国人労働者を積極的に受け入れる企業は増加傾向にあります。

外国人を雇用するためには、外国人特有の問題や特殊な労働法など、注意しなければいけない点がいくつかあります。

外国人労働者は“安く雇うことができる“といった安易な考えで雇用すると、「不法就労」などの思わぬリスクに直面してしまうかもしれません。

今回は外国人労働者を雇用する際のメリットと注意点をご紹介いたします。

 

<<外国人労働者を受け入れる場合のメリットは?>>

 

<最大のメリット?人材補充・人員確保>

最大のメリットといえば、やはり働き手を補うことができる点です。少子化の影響で日本の労働力は減少傾向にあり、また現在の新卒採用は売り手市場のため、優秀な人材の採用が難しくなっています。海外からの若い人材は、現在日本が抱えているこの欠落を補ってくれます。

 

<グローバル化への対応>

2020年7月に開催されるオリンピック・パラリンピックや2025年に開催予定の大阪万博など、今後の日本は国際的なイベントが立て続けに行われます。その中で、日本語や英語、母国語を話せる外国人スタッフがいれば、外国人のお客様の接客・通訳など、多様な場面での活躍が期待できます。会社のビジネスを海外に向けて進出を考えている場合、外国人を雇用することで、市場調査、現地での経営手法 や習慣を学ぶことがでるなど、多くの役割を担ってくれるでしょう。

 

<新しい発想>

異なる文化や環境で育ってきているため、日本人とは違った視点で物事を見ることができ、今まで気づけなかった論点や新しいアイデアを見出すことができる可能性もあります。外国人労働者は会社が抱える問題を解決へと導くカギとなるかもしれません。

 

 

<<外国人雇用に関するルール>>

上記のようなメリットがある反面、外国人が日本で働くためにはいくつかの条件があり、これらを理解する必要があります。

 

<在留資格の確認>

外国人は、出入国管理及び難民認定法で定められている在留資格の範囲内において、日本での活動が認められています。雇用する際は在留資格の種類を確認し、就労可否、就労方法を見定めましょう。

現在、在留資格は就労の可否に着目すると次の3種類に分けられます。

 

(1)在留資格に定められた範囲での就労が認められる在留資格(19種類)

外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護(介護福祉士)、興行、技能、技能実習、特定技能

 

(2) 原則として就労が認められない在留資格(5種類)

文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在

「留学」及び「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人の方がアルバイト等の就労活動を行う場合には、地方入国管理局で資格外活動の許可を受けることが必要です。この許可を得れば、「留学」の在留資格をもって在留する外国人は原則として1週28時間まで就労することが可能となります。また、「留学」の在留資格をもって在留する外国人の方は、その方が在籍する教育機関が夏休み等の長期休業期間中については、1日8時間まで就労することが可能となります また、資格外活動の許可を得れば「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人の方についても、原則として1週28時間まで就労することが可能となります。事業主の方は、これらの在留資格を有する方を雇用する際は、事前に「旅券の資格外活動許可証印」又は「資格外活動許可書」などにより就労の可否及び就労可能な時間数を確認する必要があります。なお、これらの方にあたっては、風俗営業等に従事することはできません。

 

 

(3) 就労活動に制限がない在留資格(4種類)

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

これらの在留資格をもって在留する外国人の方は就労活動に制限はありません。「短期滞在」の在留資格により在留している日系人の方は、地方入国管理局において在留資格の変更の許可を受けないと就労できません。

 

https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/anteikyoku/gairou/980908gai01.htm

このように、在留資格の種類によって雇用の可否が決められます。

 

※在留カードとは

在留カードは,氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地,在留資格,在留期間,就労の可否など,法務大臣が把握する情報の重要部分が記載されています。外国人にとって最重要の身分証明書です。在留資格確認の際は、この在留カードを提示してもらいましょう。

 

<雇用契約書の作成>

外国人の雇用を行う際には、日本人と同様に雇用契約書の作成が必要です。雇用契約書は、就労ビザを申請する際に必要な書類の1つですので、就労ビザの申請前に作成しておく必要があります。

雇用契約書の作成方法は基本的には日本人との雇用契約書と同じです。

採用後に「言った、言わない」のトラブルを防ぐため、労働条件が記載されている証拠書類になります。また、日本語だけでなく、英語や母国語などに翻訳をして相違が生まれないように注意しましょう。

 

<厚生労働大臣(ハローワーク)への届け出>

平成19年10月1日から、すべての事業主の方には、外国人労働者の雇入れまたは離職の際に、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等について確認し、ハローワークへ届け出ることが義務付けられました。この届出を怠ったり、虚偽の届出を行ったりした場合には、30万円以下の罰金の対象となります。

 

 

<<雇用の際の注意点>>

<不法就労の罰則>

不法就労とは、不法に入国・上陸したり、在留期間を超えて不法に残留したりするなど、正規の在留資格を持たない外国人が日本で働くことを言います。現在の日本には「在留資格」を越えて滞在している不法在留者が増加しているといわれています。不法就労の場合、外国人労働者本人だけでなく雇用している会社側にも責任があり、「3年以下の懲役、若しくは300万円以下の罰金」という刑事罰が科されるおそれがあります。

 

<文化の違い>

外国人労働者と社員間での言語が異なり、コミュニケーションが上手く取れないことで精神面に支障をきたし、業務に悪影響を与える可能性も考えられます。

お互いの文化・習慣の違いでトラブルが起こってしまうことも考えられます。私たち日本人が良かれと思って行った“思いやり”の行動も、外国人からしたら迷惑にとらえられてしまうかもしれません。そのため、外国人労働者がどのような文化や環境で過ごしてきたのかを理解する必要があるでしょう。

 

<<まとめ>>

外国人労働者を受け入れる際には様々な手続きが増え、理解を深めなければ思わぬトラブルに発展し、罰則を科せられるかもしれません。

しかし、外国人労働者を受け入れることで、彼らが現在の日本に与えてくれる影響は未知数です。今後の日本に必要な存在となり、私たちの国を支えてくれるでしょう。

入国管理局からハローワークへの提出書類など色々な手続もありますので、社内で対応が難しいという場合には是非ご相談ください。

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