帰国後に支給された「海外勤務期間の賞与」、税務上の取り扱いは?

日本から海外に赴任した後、日本在籍期間が算定対象である賞与が支給された場合は、その日本在籍期間に対応する部分について日本で課税がありました。

では逆に、海外在籍期間が算定対象である賞与が、日本へ帰国した後に支払われた場合、その賞与は日本では課税されないのでしょうか。

回答

海外在籍期間が算定対象であっても、その賞与が支給される時点で従業員が日本の「居住者」である場合には、日本で課税されます。
賞与や給与の課税関係は、まず 支給時点の身分(居住者か非居住者か) によって大きく区分されます。

・支給時点で非居住者
 非居住者は「国内源泉所得」に該当するものだけが課税対象となります。
 (例)賞与算定対象期間:1/1~6/30  賞与支給:8/25  非居住者となった日:4/1
   この場合、居住者期間であった1/1~3/31の期間に対して課税となります。
   4/1~6/30の期間に対する賞与は国外源泉となり、日本では課税されません。
   
・支給時点で居住者
 居住者は「全世界所得課税」が適用され、国内外で得たすべての所得が課税対象となります。
 (例)賞与算定対象期間:1/1~6/30  賞与支給:8/25  居住者となった日:4/1
   算定期間が海外勤務期間であっても、帰国後に居住者として受け取る賞与は
   日本で全期間分、課税されることになります。

このように、賞与が「どの勤務期間に対応するか」よりも、実際に支給を受けた時点での居住区分の方が優先され、帰国後に支給された海外勤務期間分の賞与も日本の課税対象となりますので注意が必要です。

国税庁
:納税義務者となる個人
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2010.htm
:国内源泉所得の範囲
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2878.htm
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公開日: 税務・税法

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