「年末調整はやりません」と言われたら?

従業員の方に年末調整をなぜしないいけないのか?と聞かれました。

確定申告しているので、必要ないと言われた場合どのように回答したらいいでしょうか?

回答

原則として、従業員を雇用する事業主(会社など)には年末調整を行う義務があります。これは所得税法第190条によって定められた法的な義務です。

まず、年末調整とは、1年間の所得税の過不足を精算するためのお手続きです。
会社員やパート・アルバイトの方は、毎月の給与から見込み額で所得税が源泉徴収されています。
しかし、結婚や扶養家族の増減、保険契約の加入などにより、年の途中で控除額が変わることがあります。
そのズレを年末にまとめて調整し、払いすぎた税金を還付または不足分を徴収するのが年末調整の目的です。

一方、確定申告は個人事業主や副業を行う方などが自ら税額を計算して申告する制度です。給与を1か所から受け取っている会社員の多くは、年末調整で所得税の精算が完結します。

従業員様が行うべきことは、扶養控除等申告書や保険料控除申告書の提出、控除証明書の添付などです。提出期限を過ぎると控除が適用されない場合もあるため、早めの対応が重要です。

例外として
複数の勤務先(ダブルワーク)がある場合は、**メインとなる勤務先(主たる給与支払者)**でのみ年末調整を行います。もう一方の勤務先(従たる給与支払者)では、年末調整を行いません。

そのため、従業員の方が「もう一方の会社で年末調整をします」と申し出た場合は、
こちらの会社では年末調整を行う必要はありません。ただし、その場合、従業員本人が確定申告で両方の給与を合算して税額を精算する必要があります。

「確定申告しているから不要」という発言の多くは、「手続きが重複するのでは?」という誤解から生じている可能性があります。
年末調整は、単なる事務手続きではなく、正しく税金を精算する大切なプロセスです。
制度を理解しておくことで、従業員様も安心して年末を迎えられます。
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公開日: 税務・税法 賃金

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