休職期間満了による自然退職 有給休暇を取得する際の影響は?

傷病の事由にて休職中の社員が、まもなく休職期間満了で自然退職となります。

最後に残っている有給を取得し、休職期間満了日をもって退職したいと本人が申出ており、会社としては構わないのですが、何か問題はありますでしょうか。

回答

 有給休暇を休職期間満了日まで取得すること自体は労働基準法上問題はありません。ただし、制度面での影響や留意点があります。

 まず雇用保険の失業給付(基本手当)についてですが、休職期間満了による自然退職は原則として給付制限なし(待期期間7日のみ)で受給できる可能性が高いものの、退職前に有給休暇を取得すると、その期間は休職状態とはみなされず期間満了退職の扱いにならない場合があります。
 その場合は自己都合退職として取り扱われ、2025年4月以降の制度では給付制限が1か月(5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合離職し受給資格決定を受けた場合は3か月)課されることとなります。
 なお、傷病等の理由ですぐに働けない場合は、まず「受給期間延長申請」を行うことが必要です。

 次に傷病手当金の支給申請への影響ですが、退職後も引き続き受給するためには、以下のすべてを満たす必要があります。
 ①退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
 ②退職日前日までに連続して3日以上出勤せず、退職日も出勤していないこと
 ③退職日において当該傷病により労務不能であること
有給休暇を取得していた期間は賃金が支払われるため、その期間については給付額が調整される、または支給されない可能性が高いですが、その期間も含めて療養が継続していることを証明し、申請を途切れなく行うことで、退職後も継続して傷病手当金を受けることが可能です。

 以上のとおり、有給休暇を取得して休職期間満了日を退職日とすることは可能ですが、失業給付や傷病手当金の受給に影響するため、ご本人へもご説明した上で有給休暇の取得をいただくようにご注意ください。
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