禁止されている自転車通勤について

先日、社員が通勤途中にケガをしたとの連絡があり状況を確認すると、自転車で通勤している途中に転んでケガをしたとのことでした。
会社の就業規則では公共交通機関または徒歩以外の通勤を認めておりません。
本人はバス通勤と申請しておりました。会社としてはどう対応したらいいでしょうか。
また、会社として認めていない通勤方法ですが労災になるのでしょうか。

回答

「通勤手当の不正受給」について
本人はバス通勤と申告していたにもかかわらず、会社で禁止されている自転車通勤を実際には行っており、会社はその申告に基づき、バス通勤の通勤手当を支給しております。
しかし、実際は交通費がかからない自転車通勤をしておりましたので、不正受給・虚偽申告となり、「不当利得」としてすでに支給された通勤手当は返還請求が可能となります。(民法703条)
また、今回の自転車通勤は就業規則で禁止されている通勤方法ですので、就業規則の懲戒規定に従って処分されるのが妥当かと思います。

「通勤災害の適否」について
まず通勤災害は労働者災害補償保険法では、「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法により往復することにより被った負傷などを「通勤災害」として保護する」と定義されています。(労災保険法第7条第2項)
よって、たとえ就業規則で禁止されていた通勤方法だとしても、直ちに通勤災害が認められないとは言えず、合理的な通勤経路・手段であれば「通勤災害」として認められる可能性が高いですが、実際には労働基準監督署の判断となります。

また、本人から通勤災害の申請があった場合は会社としては書類作成について協力する義務、申請に必要な証明をする義務がございます(労働者災害補償保険法施行規則第23条)
なお、労働災害が発生した場合に作成、提出する労働者死傷病報告ですが、通勤災害は労働災害には含まれませんので、作成、提出は不要となります。
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公開日: 労災・安全衛生

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