労災の指定病院と指定外病院って何が違うの?

通勤途上で怪我をした社員がおります。退勤時の帰宅途中の怪我であり、時間が遅い事とそこまで大きな怪我ではなかったという事で翌日に病院に受診しようと思い、翌日に行きつけである病院(自宅から近くの病院)に事前に電話で連絡をしたところ「もちろん診察等は可能だが、処置が長期化する可能性を考えると労災指定病院に行った方が良いと思う」と言われたそうです。この社員からどうすれば良いか、という相談があったのですが会社としては何を伝えてあげれば良いでしょうか。

回答

ご本人様への回答、という事では下記を整理してお伝えして頂くのが良いかと存じます。
1.今回のお怪我が通勤災害にあたるかどうか
2.選択の余地があるのであれば労災指定病院に行かれた方がご本人様にとって負担は軽減される事

1につきまして
帰宅途中のお怪我、とのことですがそれだけでは直ちに通勤災害と断定できるわけではなく、いくつかの確認事項がございます。経路を逸脱していないか、今回のお怪我の原因がご本人様の故意的なものではないか、など状況は確認する必要がございます。労災の書式にも災害の原因及び発生状況を記載する欄がございます為、まずは今回のお怪我が発生することになった原因や経緯を聞き取りされることが先決です。

2につきまして
通勤災害として申請されるとなった場合、通院される病院によって御社側の作成する書類も変わることになりますしご本人様の対応も変わることになります。下記に簡単にまとめますので、その上でご本人様が労災指定病院に行かれるのか、労災指定外病院に行かれるのかをご判断頂ければ良いかと思われます。
労災指定病院:今回の通勤災害であれば作成する様式は様式第16号の3になります。また受診の際に労災である事の申し出をし様式第16号の3がその時点で提出できるのであれば、窓口での受診に対するお金の支払いは発生しません。また今回のお怪我の通院が一度で終わらず二度三度と発生する場合においても同様です。
労災指定外病院:今回の通勤災害であれば作成する様式は様式第16号の5になります。労災保険を使用することになりますが、労災指定外病院の場合は、労災保険の現物給付(窓口での直接的な保険適用)ができないため、窓口での受診に対するお金の支払いは10割の負担となります。そちらの支払いの領収書や様式第16号の5の書類を所轄の労働基準監督署へ提出し、審査の結果通勤災害として認定された場合にご本人様の指定する口座に支払ったお金が戻ってくる、という事になります。通院が複数回に及ぶ場合も、その都度原則として一旦は10割をご負担いただくことになります。労働基準監督署への費用請求手続きは必ずしも1回ごとの受診に分ける必要はなく、複数回分をまとめて申請することも可能です。ただし、例えば受診が終わったと思ったが3か月後に何か違和感を感じて改めて受診した、という場合はその分もまた改めて書類を作成し申請をしなければいけなくなります。

労災指定病院か労災指定外病院かで変わってくる部分がございます為、例えば労災指定病院が自宅や会社から遠くにしかない、どうしても行きつけの病院で受診したいというご本人様の希望がある、という事でない限りは労災指定病院を受診される事をお勧めいたします。
なお、労災指定病院につきましては厚生労働省のウェブサイト「労災保険指定医療機関検索」にて所在地や診療科目などから検索することが可能です。
https://rousai-kensaku.mhlw.go.jp/
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公開日: 労災・安全衛生

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