正社員化コースにおける就業規則の整備について

有期契約社員を正社員転換し、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請を考えています。
就業規則に転換規定等が必要と思いますが、他に規定すべき内容としてどういったものがありますでしょうか。
また、いつから施行すればよいでしょうか。

回答

正社員化コースの要件として、就業規則に規定すべき内容としましては、下記がございます。

①正社員転換制度
 面接試験・筆記試験等の手続や転換の要件、及び転換時期が明記されていることが必要です。
 短時間正社員、勤務地限定正社員、職務限定正社員への転換を行う場合は、通常の正社員への転換とは別に、これらへの転換制度の規定も必要となります。
②有期契約社員の雇用期間の定め
 「有期契約社員の雇用期間は6ヶ月とする」「雇用契約期間は1年以内とし、雇用契約書により個別に定める」等、期間の定めが明確であることが必要です。
③雇用形態の区分
 雇用形態の条文において、「正社員」「パート」「契約社員」など、従業員の区分が明確であることが必要です。
 就業規則そのものを正社員用・非正規社員用でわける必要まではありません。
④正規・非正規の賃金の違い
 基本給、賞与、退職金、各種手当等について、いずれか1つでも異なる制度(基本給の多寡や賞与の有無等)を明示的に定めていることが必要です。
 正規・非正規間の賃金の額または計算方法の違いを就業規則上で確認できない場合は不可となります。
⑤正社員の「賞与または退職金の制度」
 賞与または退職金の制度が正社員に適用されることが就業規則に明示されていることが必要です。
 賞与は「〇月に支給する、ただし業績によっては支給しないことがある」など、支給することが原則である規定でなければなりません。
 そのため、「決算賞与」は不可となります。
 また、その支給または実施時期等が明示されていることが望ましいとされています。
 退職金は、適用される労働者の範囲、支給要件、額の計算方法及び支払方法、支払時期等の記載が必要です。
⑥正社員の「昇給」
 毎年昇給するわけではなく、賃金据え置きや降給の可能性がある規定の場合、就業規則に客観的な昇給基準等の規定が必要です。

制度上は原則として転換規定や雇用形態、正社員に関する規定は転換前まで、正社員と非正規社員の処遇差等は転換日の6ヶ月前までに施行していることが必要ですが、正社員転換は所定の手続を経たうえで行うものですので、直前ではなく予めある程度余裕をもって施行するようにしましょう。

上記以外の通常就業規則に定めておくべき内容についても、当然規定されていることが必要となります。
実態として制度を運用していたとしても、就業規則等の書類上で確認できなければ不可とされることもございますので、速やかに就業規則の整備を行うようにしてください。
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公開日: 助成金 育成・研修・助成金

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