「特定保健指導」の時間は労働時間とみなす?

従業員から、「特定保健指導のため勤務時間に中抜けしたいのですが、その時間は労働時間扱いになりますか?」と問い合わせを受けました。定期健康診断は労働時間とみなしていますが、特定保健指導はどのように対応すべきでしょうか。

回答

2008年(平成20年)4月より、40歳~74歳の人を対象に、生活習慣病の予防を目的とした「特定健康診査」が行われています。この健診はメタボリックシンドロームに着目したものです。
「特定保健指導」は特定健康診査の後、メタボリックシンドロームのリスクが高いと判断された方へ、保健師等が生活習慣改善のアドバイス等を行うものです。

通達において、特定保健指導に要した時間ついて、以下が示されています。(基発第0117001号・保発第0117003号・基発0509第7号)

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特定保健指導は、医療保険者にその実施義務を課し、労働者個人の意思により利用されるものであって、業務遂行との関連において行われるものではないことから、その受診に要した時間の賃金を事業者が負担する義務を負うものではない。
しかしながら、特定保健指導等を受けるための機会の拡充や実施率の向上は、労働者の健康の保持・増進につながることから、事業者におかれては、就業時間中の受診に要した時間の賃金等の取扱いについて特段の御配慮をいただき、協力できるか御検討願いたい。
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上記通達のとおり、事業主による賃金負担は義務ではないため、無給あるいは労働者からの申出により有給休暇での対応で差し支えありません。ただし、従業員の健康管理は事業主にとって重要であり、従業員が健康的に働けることは会社運営にもかかわることですので、取り扱いについて会社の方針を定めることをお勧め致します。

なお、特定健康診査・特定保健指導が義務付けられているのは、医療保険者(国民健康保険、協会けんぽ、健保組合等)です。
年1回行われる、労働安全衛生法に基づく定期健康診断は事業主の義務ですが、特定健診の受診項目が含まれているため、40歳~74歳の従業員は特定健診を受けていることになります。
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公開日: 労務管理

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