時短勤務と育児時間の取得はどちらがよいか?

出産後半年程度で職場復帰した従業員からこの程、勤務時間を少し短くしたいという申し出がありました。もちろんそれ自体に問題はないのですが、短時間勤務とするか育児時間を取得するかで迷っているとのことで言われており、弊社でそもそも短時間勤務をしている社員がおらず規定はあるのですが実際の運用をしていない為どちらがよいのか、と本人に伝えることが出来ません。どういう場合にどちらがよい、という指針はありますでしょうか。

回答

短時間勤務と育児時間はそもそもの取得要件が違いますので、どちらが良いという比較にはならないかと存じますので先に条件を記載させて頂きます。
短時間勤務制度については、育児・介護休業法第23条によって定められており、3歳に満たない子を養育する労働者(性別不問)で、育児休業を取得していないもの(一日の所定労働時間が短いとされる労働者を除く)が利用できます。
育児時間については、労働基準法第67条に定められており、生後満1年に達しない生児を育てる女性から請求があった場合、休憩時間のほかに1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を与える必要があります。

つまり、短時間勤務制度はお子様が3歳未満であれば取得でき、育児時間はお子様が1歳未満でかつ女性しか取得できない、という事になります。
ただし、こちらは法律が定める要件に基づいていますので、御社がこれ以上の規定を定めている場合には、それに従うことになりますが、ここでは法律通りのご説明となります。
今回、ご質問に性別の記載はありませんが、『出産後』とありますので、従業員の方が女性であると推察されます。お子様が現在1歳未満であれば、短時間勤務制度と育児時間のどちらも取得可能です。この場合、併用も可能ですので、短時間勤務を取得しつつ、育児時間も取得することができます。ただし、育児時間については1日の所定労働時間が4時間以下であれば、1日2回ではなく1回のみとなります。
また、育児時間の取得タイミングは自由ですので、御社の勤務形態がフレックスタイム制であれば特に問題はありませんが、固定の勤務時間制(例:9時~18時)であれば、日によって10時~18時、9時~17時、9時30分~17時30分など、状況に応じて取得時間を調整することも可能です。

定常的に勤務時間を短くしたい(毎日、またはほぼ毎日)のであれば今の時点で短時間勤務とされると良いと思われますし、たまに勤務時間を短くしたい、もしくは取得タイミングを任意で変えたいのであれば育児時間の取得とされる、で良いのではないかと存じます。もちろんそれを両方使用される事も考えられます。
従業員様に上記の内容をご説明し、どういう理由で勤務時間を短くしたいのか、またその時間についてはどの程度なのかという部分でご判断いただくのが良いかと存じます。
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公開日: 労務管理 育児介護休業

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