年金受給者は確定申告を行わなくても良いのでしょうか?

65歳になり年金を受給している従業員から、年金を受給している場合は確定申告を行わなくても良いという話を聞いたのですが、確定申告は必要ですか、との質問がありました。
年金受給者は確定申告を行う必要は無いのでしょうか。

回答

お問い合わせの件につきまして、結論から申し上げますと、一定の要件を満たす場合のみ不要となります。

まず、1年の間に何らかの所得があった方は、原則として、最終的に年間の所得税の過不足清算を行う必要がございます。
会社にご勤務されており、給与の支給がある方は、年末調整にて清算を行われているかと存じます。

給与以外の所得がある方につきましては、確定申告によって清算を行います。

65歳になって受給された年金ということは老齢年金かと存じますが、老齢年金は公的年金であり、「雑所得」に該当します。
雑所得は「給与以外の所得」となるので、確定申告を行う必要がございます。

ただし、公的年金を受給されている場合は「公的年金等に係る確定申告不要制度」という制度により、一定の要件を満たしていれば確定申告が不要となります。

一定の要件につきましては、以下のとおりとなります。

①公的年金等の全部が源泉徴収の対象
②公的年金等の「収入」金額が400万円以下
③公的年金等に係る雑所得以外の「所得」金額が20万円以下

※公的年金の金額は「収入」で判断しますが、公的年金等に係る雑所得以外の金額は「所得」で判断しますので、ご注意下さい。

①については少々分かりづらいですが、一例として外国の法令により支払われた公的年金等は源泉徴収の対象とならず、これが含まれる場合は確定申告不要制度が適用出来ません。日本の年金のみを受給されている方につきましては、差し当たり②と③を留意頂ければよろしいかと存じます。

上記の①~③が全て該当する場合は、確定申告は不要となります。上記に該当しさえすれば良いので、何らかの申請を行って頂く必要もございません。。

ただし、年間の所得の中に所得税の徴収があり、その還付をご希望される場合は、確定申告を行う必要がございます。
確定申告不要制度はあくまで確定申告が免除されるだけで、すでに納めた所得税の還付が自動で行われるわけでは無いので、その点をご注意下さい。

また、確定申告は所得税のための手続きであり、住民税については確定申告不要制度はございませんので、確定申告を行わない場合は別途ご申告が必要となります。住民税のご申告は1月1日にお住いの自治体にて行いますので、詳細につきましては、市役所等にてご確認下さい。

なお、確定申告を行った場合は、確定申告の内容が各自治体にも伝わりますので、改めて住民税のご申告を行う必要はございません。

上記を踏まえ、該当の方の所得や税金の徴収状況等を確認頂いた上で、確定申告についてご案内頂くようお願いいたします。
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公開日: 税務・税法

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