自己肯定感と自己効力感について

自己肯定感が低く「あの人はできるかもしれないけど、自分にはできない」、「あの人は評価されているのに、自分は評価されていない」と嫉妬や劣等感、不当感で悩んでいるスタッフがいます。自己肯定感を高めて前向きに仕事に取り組んでもらいたいと思っていますが、似た概念で自己効力感という考え方があると思います。どのような概念ですか?

回答

まず自己肯定感と自己効力感の違いですが、自己肯定感とはそのまま自分自身を肯定できる、良いところも悪いところもある現在の自分には価値があると受け入れられることです。
対して自己効力感とは過去の成功体験などから「自分ならできる」と自分の可能性が信じられる、判断できるということです。

自己肯定感は高い方が良いと思われていますが、自己肯定感の高まりには2つのパターンが考えられます。
1つには、他人との比較の中で、自分はあの人よりはマシであると思うことで自己価値が高いケース、また比較対象が少ない中で自分は上位であると認識して自己価値が高いケースがあります。
もう一方には、自分の価値は他者との比較によって相対的に決まるものではなく、そのままで価値がある、と考えられるケースがあります。

前者では現状に満足してしまい、思ったように周囲からの評価が得られないことに不当感を抱きやすくなったり、また比較により自己肯定感が低くなりやすくなります。
後者では自分にも他人にも等しく価値があると存在を肯定できることで、ただより良くを目指しやすくなります。

自己肯定感はそのような自己の存在を肯定できるか、どのように肯定しているかという中長期で培われる価値観に基づいているものとなります。

対して自己効力感にも、経験に基づき2つの方向で発出するケースがあります。
1つには、過去の成功体験から自分はやればできる、これができたのだから、これもできるかもしれないと、一定程度の成功の記憶に基づく根拠をもって自身の成功を信じることができるケースがあります。
もう一方には、成功の経験をあまり実感できておらず、自分にできることの範囲を安全な範囲にとどめてしまうケースがあります。

両者には実際には成功経験に大きな差がないケースもあり、成功としての実感値の違いによる場合も多くあります。

自己効力感は経験や周囲からの評価によって高めやすい反面、失敗の経験によって急激に失われるケースもあります。
仕事においては、難易度の高すぎるテーマによって失敗の経験を重ねてしまわないように上司は監督を行い、結果的に成功した部分を評価し、認識させることで自分はもっとできるかもしれないという自己効力感を高めることで、長期的な自己肯定感の醸成につながるものと考えます。
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