死亡退職した従業員の手続きは何が必要?

不慮の事故により死亡退職となった従業員がいるのですが、どのような給与処理・手続きが必要になりますでしょうか。

回答

死亡日後に支給日が到来する給与がある場合は、相続財産になりますので源泉所得税の徴収はせず、死亡した従業員にかかる「給与所得の源泉徴収票」の「支払金額」欄にも含めません。
また、給与の支給に関しては、一般的には亡くなった方の口座は凍結されますので、相続人の銀行口座を教えてもらい、指定の口座に振り込む、または現金で手渡すことになります。銀行口座に給与を振り込む場合は、誤って支払ってしまうことがないように身元の確認や口座情報の確認を事前にされるとよいかと思います。

退職金制度を設けている場合は、ご遺族に支給することになります。
死亡後に支給することになるため、従業員の退職所得等ではなく、遺族の相続財産となります。


その他対応や手続き関連で必要になってくるのは以下が挙げられます。
・年末調整
通常、年末調整は年末に行いますが、死亡退職の場合は、死亡日時点の給与・賞与に基づき、年末調整を行うことになります。死亡日後に到来する給与につきましては、相続財産となり、所得税の課税対象となりませんので、年末調整の対象から除外して計算します。過不足税額については、相続人へ還付もしくは徴収することになります。年末調整によって発行される源泉徴収票につきましては、ご親族の方へお渡しください。ご親族の方が確定申告をされる際に必要になります。

・健康保険/厚生年金保険
加入している場合は死亡日の翌日が資格喪失日となりまして、通常の退職時と同じように資格喪失届の提出が必要です。
被保険者証の回収ができない場合も考えられますので、加入している組合もしくは協会けんぽへ添付書類の有無のご確認を行いましょう。
また、埋葬料の請求が行えます。火葬許可証の写しや死亡診断書の写しなどの添付書類が必要になりますので、こちらも加入している組合もしくは協会けんぽへ確認を行いましょう。

・雇用保険
通常の退職と同じく資格喪失手続きが必要です。

・住民税
給与から住民税を特別徴収していた場合は、普通徴収への切り替えが必要です。
未徴収税額については、ご遺族の方が納付することになります。

・遺族年金
死亡した従業員の方が要件を満たしている場合は、一定のご遺族が遺族年金を受給できる可能性がございます。
最寄りの年金事務所へご確認されるとよいでしょう。

・福利厚生
慶弔見舞金規定などにより、葬祭料や弔慰金などが出るのであれば、規定に沿ってい支給することになります。


従業員が事故や突発的な病気などにより倒れたり、死亡したときに家族と連絡が取れない事態を避けるためにも、身元保証人や緊急連絡先の確認と定期的な情報の更新を行う仕組みを整えておくことも重要であると考えます。
会社によって必要な手続きは異なりますので、改めて確認、整理しておきましょう。
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