うつ病からの職場復帰に産業医が賛成しない場合の対応

うつ病で6ヶ月間休職をしていた従業員が回復し、この度職場復帰の願い出がありました。主治医の診断書によると「職場復帰可能」という内容でしたが、後日、本人が産業医と面談したときの診断内容は「復帰のためのリハビリを要する」でした。この場合、産業医の判断がやはり優先されるのでしょうか。

回答

職場復帰の決定は、職場事情に通じている産業医の判断を優先させた方がよいでしょう。
本人が焦って復帰を希望することも多く、復帰しても再発して再度休職してしまうような事態を避けるためにも、通常の疾病とは異なり、慎重な対応が必要です。

●後日、担当の産業医に詳細を聞いた
 主治医によると、本人より「早く復帰したいので診断書が欲しい」と頼まれ、根負けして職場復帰可能という診断書を書いたとのこと、産業医はその診断書をもとに面談をしたが、生活リズムは取り戻しているものの、通勤や職場での円滑なコミュニケーションには不安が残るとの判断で、リハビリ出勤で心と体を仕事にならしていく必要があるとして、回答にある内容の診断書を作成したとのことでした。

●「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(厚生労働省)によると…
 主治医が休業中の診療を行い、回復してくれば職場復帰可能かの判断をします。産業医はそれを受けて仕事の内容や職場の環境を考慮して職場復帰可否の判断をし、復帰に向けてのプランを提示して、最終的には会社が復帰を判断するという流れが一般的です。
https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf

●産業医と主治医の連携とは
 診療情報の提供を求めることや診療情報・就労状況に関する情報共有を図るといった一連の流れ全てを言います。この連携を復職前に実施することが、主治医の病状回復の判断と産業医の職場復帰の判断におけるギャップを埋めることにつながり、職場復帰後の再休職防止などに役立つため、職場のメンタルヘルス対策として行政でも注目・推進されているようです。しかし、実際の現場では、職場で問題となるレベルと医療機関で問題となるレベルに大きな違いがあり、双方の立場が違うことから機能していないケースもまだまだ多いというのが実態のようです。
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