制服に着替える時間は労働時間ですか?

アルバイト社員から、更衣室での制服への着替えと勤務場所への移動時間は労働時間ではないかと質問を受けました。
確かに更衣室と勤務場所は離れていますが、着替えにかかる時間は個人毎で違います。
全て労働時間として賃金を支払う必要はあるのでしょうか?

回答

労働時間について、労働基準法には明確な定義はありませんが、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の中で、「労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること」、また、「客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること」とされています。

制服や作業服への着替えの時間が労働時間に該当するかどうかは、業種や業務内容などケースバイケースの判断となるかと思いますが、以下のポイントに該当するのであれば移動時間も含め労働時間とみなされる可能性が高くなります。
①就業規則等に着用が義務付けられている。
②着用を怠ると懲戒処分を受ける等、着替えることが黙示されている。
③制服通勤を禁止するなど、着替える場所が指定されている。
④法律上義務付けられている保護具の装着など、業務を行うために必要である。

対応策としては、制服へ着替る前にタイムカードに打刻し、業務終了後、制服から着替えた後にタイムカードを打刻するというルールとするのがシンプルですが、それが難しいようであれば、着替えの時間、移動時間について必要な時間をあらかじめ定め、その時間分の賃金を支払うという方法もあります。

1日だけで考えるとその着替えは僅かな時間ですが、長い期間で考えて見ると多くの時間分の未払い賃金が発生しているかもしれません。
実際に労基署より着替え時間分の賃金が未払いとして、是正勧告を受けるケースも多くありますので、早めの対策をおすすめします。
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