人事評価制度の運用
人事評価制度の見直しの相談の中で、問題のあるよくある運用実態は、どのようなものがありますか?
回答
お問い合わせありがとうございます。
具体的な内容のご質問でないため、よくある事案やトラブルとなりそうな運用について紹介しますので、自社の実態と照らし合わせて適切に見直しなどをされて頂ければと思います。
まずは、非常に基礎的ではありますが、就業規則において制度化され、労働契約の内容となっていることです。これによって、使用者は、人事考課権を有しており、原則として使用者の裁量に基づいて人事考課権を行使することができます。そのため、制度の変更があった場合には、その制度に合った形で就業規則の変更も必要となりますし、適当な変更では、権利の濫用とみなされる可能性もあります。人事考課を著しく恣意的に行った場合には、人事考課権の濫用として、降格や降給、賃金減額が無効となります。その場合、労働者に経済的損害を及ぼした場合には、不法行為に当たることもあり、損害賠償責任を負うことにもなりかねません。相談の中でよくあるのが、評価者のバイアスなど(思い込みや主観など)によって公正さを欠いていることが多くあります。
このような状況を案外放っておいている、または、手が打てていないことが多く見られます。これでは、法的にも問題あることは当然ですが、さらに、評価の本来の効果が全くなくなってしまうこととなります。それが形骸化へ進む要因の一つでもあります。
ここで、公正さの観点から、説明しますが、評価制度では公正な評価が必要とされます。この「公正さ」には、形式的公正さ(制度や手続きそのものの合理的かつ公正であること)と実態的公正さ(制度や手続きの運用も公正であること)の二つの視点があります。
形式的公正さとして次のポイントがあります。
①公正・透明な評価制度の整備・開示
(例えば、一方的な評価を行うのではなく双方的な制度、透明性・具体性のある評価項目(現場の実態に合ったものであること)・基準、項目・基準のウエイトの明確化、評価の納得性を高めるための評価方法(多面評価や評価プロセス整備・明確化など)、評価を処遇に反映するためのルールおよび開示(評価結果がどのような処遇に範囲されているか、恣意的でなくルールが明確であるか、など)
②評価結果の説明・開示(フィーバック)(※評価はしているが、フィードバックが行われていないという企業もあります)
③不服申立制度の整備(この前提として、しっかりと評価者・被評価者が対話等ができる機会と場などを設定しておく)
④その他、制度的・手続き的公正さを担保する仕組み
(例えば、目標設定における適切な面談の機会、能力開発制度の整備、職務選択の機会確保など。現場任せとなると適正な運用がされなくなる可能性もあるので、運用状況についてウオッチして、しっかり人事部門等がサポートする)
このようなものが必要となります。
当然、各企業の規模や業種、従業員の職種等を考慮する決定する必要がありますが、できる限り①~④は整備しておきたいものです。
特に、プレイングマネジャーが多くなる規模では、②のフィードバックがない、適当な実施になっていることが多々あります。ここは、注意する必要があると思います。
具体的な内容のご質問でないため、よくある事案やトラブルとなりそうな運用について紹介しますので、自社の実態と照らし合わせて適切に見直しなどをされて頂ければと思います。
まずは、非常に基礎的ではありますが、就業規則において制度化され、労働契約の内容となっていることです。これによって、使用者は、人事考課権を有しており、原則として使用者の裁量に基づいて人事考課権を行使することができます。そのため、制度の変更があった場合には、その制度に合った形で就業規則の変更も必要となりますし、適当な変更では、権利の濫用とみなされる可能性もあります。人事考課を著しく恣意的に行った場合には、人事考課権の濫用として、降格や降給、賃金減額が無効となります。その場合、労働者に経済的損害を及ぼした場合には、不法行為に当たることもあり、損害賠償責任を負うことにもなりかねません。相談の中でよくあるのが、評価者のバイアスなど(思い込みや主観など)によって公正さを欠いていることが多くあります。
このような状況を案外放っておいている、または、手が打てていないことが多く見られます。これでは、法的にも問題あることは当然ですが、さらに、評価の本来の効果が全くなくなってしまうこととなります。それが形骸化へ進む要因の一つでもあります。
ここで、公正さの観点から、説明しますが、評価制度では公正な評価が必要とされます。この「公正さ」には、形式的公正さ(制度や手続きそのものの合理的かつ公正であること)と実態的公正さ(制度や手続きの運用も公正であること)の二つの視点があります。
形式的公正さとして次のポイントがあります。
①公正・透明な評価制度の整備・開示
(例えば、一方的な評価を行うのではなく双方的な制度、透明性・具体性のある評価項目(現場の実態に合ったものであること)・基準、項目・基準のウエイトの明確化、評価の納得性を高めるための評価方法(多面評価や評価プロセス整備・明確化など)、評価を処遇に反映するためのルールおよび開示(評価結果がどのような処遇に範囲されているか、恣意的でなくルールが明確であるか、など)
②評価結果の説明・開示(フィーバック)(※評価はしているが、フィードバックが行われていないという企業もあります)
③不服申立制度の整備(この前提として、しっかりと評価者・被評価者が対話等ができる機会と場などを設定しておく)
④その他、制度的・手続き的公正さを担保する仕組み
(例えば、目標設定における適切な面談の機会、能力開発制度の整備、職務選択の機会確保など。現場任せとなると適正な運用がされなくなる可能性もあるので、運用状況についてウオッチして、しっかり人事部門等がサポートする)
このようなものが必要となります。
当然、各企業の規模や業種、従業員の職種等を考慮する決定する必要がありますが、できる限り①~④は整備しておきたいものです。
特に、プレイングマネジャーが多くなる規模では、②のフィードバックがない、適当な実施になっていることが多々あります。ここは、注意する必要があると思います。
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