65歳に達した社員の「配偶者」について、気をつけることは?

弊社は65歳の定年を採用し、意欲や能力がある社員を継続して雇用する制度があります。
今回、該当する社員(社保加入)がおり、処遇等の条件は引き続き同じとなります。
このような場合、会社として、何らかの社会保険手続は必要ないと思うのですが、
この認識に誤りはないでしょうか?

回答

ご認識の通り、今回の雇用継続に伴って、会社による社会保険手続は発生しないようです。ただし、65歳に達する社員の「配偶者」について、留意していただきたいことがあります。

社会保険に加入している社員が「配偶者」を扶養している(配偶者が健康保険上の被扶養者である)場合、その配偶者は同時に「国民年金の第3号被保険者」となりえますが、両者の範囲は一緒ではありません。

すなわち、第3号被保険者とは「20歳以上60歳未満の方で第2号被保険者に扶養されている人」なので、例えば、健康保険上の被扶養者に該当する20歳未満の配偶者であれば、第3号被保険者には該当しないということになります。

 さらに、(国民年金の)第2号被保険者の要件として「厚生年金に加入している」となりますが、例外として「65歳以上の被保険者で、老齢基礎・厚生年金などの受給権がある人は第2号被保険者には該当しない」というものもあります。

以上を踏まえ、今回のケースにおいて、①当該社員の配偶者は第3号被保険者か?②社員は老齢基礎・厚生年金の受給権があるか?が重要となってきます。

①②を両方満たす場合は、社員の配偶者は、ご自身で、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者に切り替えていただく必要があります。今回は会社で手続をする必要がなく、また、必ずしも②について会社が把握しているわけではありませんが、第1号被保険者に切り替わる場合、配偶者に保険料の負担が発生することになりますので、人事担当として、その辺の事情を社員にご案内できるようにしておくとよいと思います。
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