会社は給与明細データを保存する義務があるか

弊社では先日、従業員から同意を得たうえで給与明細を紙の明細からデータの明細に変更いたしました。

そこで過去の給与明細の控えを整理したいと考えているのですが、何年前まで保存義務があるでしょうか。

回答

会社が給与明細の控えを保存する義務について、法律上の明記はございません。

所得税法第231条により、給与の支払者である会社は従業員に給与明細を交付する義務があると規定されております。
ただし、給与明細の控えを会社で保存する義務についての記載はございません。

労働基準法第109条により、会社は賃金台帳等の労働関係に関する重要な書類の記録を5年間保存する義務があると規定されております。
(当分の間、「5年間」は「3年間」に要件緩和されております。)
ただし、労働基準法第109条の対象として給与明細は挙げられておりません。

一方、扶養追加の手続きなど公的機関からの依頼で給与明細が必要になる場面など、再交付の必要が生じる場合も考えられます。
会社に給与明細の再交付の義務はございませんが、何らかのトラブルが発生しても対応できるように念のための備えという意味であれば、現状は3年程度の控えがあれば十分と言えるでしょう。

なお、労働基準法第109条は賃金請求権が5年間(当分の間3年間)に延長されたことに伴って保存期間も延長されたという背景がございますが、退職金請求権の時効は法改正前より5年間とされております。
特に在職時の賃金や勤怠データが退職金に影響する場合などは、退職者の賃金データについては退職後5年程度残しておいた方がよろしいでしょう。
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公開日: 労務管理

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