専門業務型裁量労働制を導入した場合、残業代の支給は不要か?

弊社では社内システム部門の社員に対して専門業務型裁量労働制の導入を検討しております。

専門業務型裁量労働制を導入した場合、残業手当の支給が不要になると聞いたことがあるのですが、時間外手当も深夜割増手当、休日勤務手当も不要なのでしょうか。

また、導入にあたり注意点があれば教えて下さい。

回答

専門業務型裁量労働制は、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として法令等により定められた19業務の中から、対象となる業務を労使協定で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合に、労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。(労基法第38条の3)

よって、導入した場合は時間外手当の支払いは不要となりますが、労基法上の深夜業・休日についての規定は排除されないため、深夜割増手当や休日勤務手当については支払いが必要となります。
また、みなし時間が法定労働時間(1日8時間・1週間40時間)を超える場合についても、超える分の割増賃金の支給が必要となります。


下記、導入にあたっての注意点です。

1.導入するためには下記の事項を労使協定で定めた上で、社員への周知、および管轄の労働基準監督署への届出が必要です。

①対象業務
②業務の遂行手段、時間配分の決定等に関し具体的な指示をしないこと
③みなし時間
④有効期間(3年以内が望ましい)
⑤健康・福祉確保措置
⑥苦情処理措置
⑦⑤・⑥に関し労働者ごとに講じた措置の記録を、協定の有効期間及びその時間満了後3年間保存すること。

労使協定については有効期限が切れた場合は、再度締結・周知・届出が必要となります。
締結及び周知ができていない場合は労使協定は当然無効となり、別途時間外手当の支払いが必要となってしまいますので注意が必要です。また、届出ができていない場合は30万円以下の罰金の対象となります。

2.導入しても労基法上の休憩に関する規定は排除されないため、みなし時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩を与える必要がございます。

3.現行の給与額のまま専門業務型裁量労働制を導入しようとすると、これまでと同じくらい働いても時間外手当の支払いがなくなる分、対象社員の給与が減るため不利益変更によるトラブルを招く恐れがあります。
これまで業務を遂行するのにかかっていた時間や残業手当額を加味し、みなし時間や導入後の給与額の設定が妥当かよくご検討の上、導入されることをお勧め致します。
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船水 希恵

バックオフィスと常駐先クライアント企業様にて、給与計算・社会保険手続き・労務相談・Excelを活用した業務改善支援に従事しています。 兎と亀で言うと亀タイプ。皆様のお役に立てるよう日々努めて参ります。 給与・手続き→労務相談・規程作成に業務の比重を移すべく鋭意自己研鑽中。

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公開日: 時間外手当

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