短時間休業における休憩時間の取扱

弊社は小売業を営んでいますが、新型コロナウイルスの影響により、当面午後の営業時間は短時間休業とすることになりました。
この短時間休業については雇用調整助成金の申請を予定しています。

そこで質問ですが、8時~17時勤務(昼休憩1時間)の従業員について12時に退勤させた場合、休業時間は
・12時~17時(5時間)
・13時~17時(4時間)
のどちらになりますでしょうか。

回答

短時間休業に休憩が含まれる場合、休業時間数は休憩時間を除外した実際の就業時間で計算を行います。
よってご質問の事例の場合、休憩を除く13時~17時の4時間が短時間休業となります。

短時間休業に休憩が含まれる場合、休業時間数は休憩時間を除外した実際の就業時間で計算を行います。
なお、休業の中途に休憩時間が含まれる場合も同じ取扱をいたしますので、例えば13時~14時が休憩時間の場合なども、休業時間数は4時間として計算することとなります。

休業とは、労働者が事業所において所定労働日に働く意思と能力があるにもかかわらず労働することができない状態を言い、休業手当の対象となります。
雇用調整助成金の要領においては、所定労働日の所定労働時間内において1時間以上労働することができない状態を短時間休業と定義づけています。
また、労働義務がない、労働の意思がない、労働能力を喪失している場合は休業手当の対象となる休業にはあたりません。

休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間を言い、途中付与、一斉付与、自由利用の3つの原則があります。(労働基準法第34条)
休憩時間は労働から離れる(義務がない)わけですから労働時間には含まれません。また、就業規則の絶対的記載事項となっています。
これらのことから、休業手当の支給対象となる休業(短時間休業)に休憩時間は含めないことになります。

雇用調整助成金における短時間休業の取扱いについて

4月10日、5月20日付発行のリーフレットに、新型コロナの影響による特例措置が記載されています。
・部署や部門ごと(業績の落ち込んだ一部門のみ、製造ラインごとの短時間休業など)
・職種や仕事の種類に応じて(常時配置が必要な労働者以外の労働者の短時間休業など)
・シフトなど、勤務体制による(8時間4交代制を6時間3交代制とすることによる2時間分の短時間休業など)短時間休業が可能となりました。


就業規則が原則

就業規則には、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には終業時転換に関する事項の記載が必ずあります。(労働基準法第89条 絶対的必要記載事項)
助成金の申請などにおいて、要件に該当するか否かを判断する際に重要な内容ともなります。就業規則に記載されている内容どおりに就業していることが原則ですので、仮に実態とかけ離れていることが判明したら、速やかに変更・改正することが必要です。
変更・改正した就業規則は、所轄労働基準監督署に提出する義務があることは言うまでもありません。

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公開日: 労務管理 勤怠・休憩時間

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