雇用調整助成金 出向させている社員も支給対象になる?

当グループの子会社に数名出向させていますが、昨今のコロナ禍で出向先グループ子会社が休業となり当社からの出向社員も休業しています。

給与の支払いは出向元の当社が行っていますが、この場合の出向費は、出向先のグループ会社に満額請求してもよいのでしょうか。

また、会社として雇用調整助成金を申請する予定でいますが、この出向者も助成金の対象となるのでしょうか?

回答

出向社員の休業、給与等の取り扱いは、出向先企業と結ぶ出向契約に基づきます。従って出向費用につきましては、契約内容を確認の上、出向先企業と協議されることをお勧めいたします。
次に、雇用調整助成金ですが、在籍出向者が出向先で休業となった場合、出向元事業所において雇用保険の被保険者となっており、出向元事業所および出向先事業所において、助成金の支給要件を満たせば、出向元事業所から在籍出向者に係る休業等の申請が可能です。従って上記の質問の場合、出向者も助成金の対象として申請可能です。
なお、助成金の支給対象となる要件は、以下の通りです。

(1) 雇用調整の実施
雇用調整助成金は、「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、その雇用する対象労働者の雇用の維持を図るために、「労使間の協定」に基づき「雇用調整(休業・教育訓練・出向)」を実施する事業主が支給対象となります。
具体的には、以下の①~③を満たしている必要があります。

① 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由
景気の変動および産業構造の変化ならびに地域経済の衰退、競合する製品・サービス(輸入を含む)の出現、消費者物価・外国為替その他の価格の変動等の経済事情の変化をいいます。

②事業活動の縮小
以下の生産量要件・雇用量要件を満たしていることをいいます。
生産量要件…売上高、または生産量などの事業活動を示す指標の最近3か月間の月平均値が前年同期に比べ10%以上減少していること。
雇用量要件…雇用保険被保険者数および受け入れている派遣労働者の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ、大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上増加していないこと。

③労使間の協定
本助成金は、雇用調整の実施について労使間で事前に協定し、その決定に沿って雇用調整を実施することを支給要件としています。労使協定は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には労働者の過半数を代表する者との間で書面により行う必要があります。

(2) その他の要件
その他の要件は以下の通りです。
① 雇用保険適用事業主であること。
② 「受給に必要な書類」について、整備し、受給のための手続に当たって労働局等に提出するとともに、保管して労働局等から提出を求められた場合にそれに応じて速やかに提出すること。
③ 労働局等の実地調査を受け入れること。


「出向」の形態を確認しましょう。

・出向には、2種類(在籍出向と転籍出向)ある、と言われていますが、正確に言うと出向とは「在籍出向」のことです。どちらも他の企業(出向先・転籍先)の指揮命令の下で就労させるも のですが、出向は出向元との雇用契約が継続しているのに対し、転籍は転籍元との雇用契約が終 了している点に違いがあります。
・「転籍」は企業との現在の労働契約関係を終了させて、新たに他の企業との間に労働契約関係を成立させ、当該他企業の業務に従事する人事異動のことです。
・出向なのか転籍なのか判別しがたくなることがあります。こうした場合は、実質上復帰の可能性があるかどうかで判断することになるでしょう。


出向期間中の保険料は、誰が払うべきか?

・労災保険については、安全配慮義務と密接な関係があります。出向社員は出向先の会社の指揮命令下で業務を行いますので、安全配慮義務は出向先の会社にあります。そのため、労災保険の保険料は、出向先の会社に納付義務があります。
・雇用保険については、賃金を支払っている会社に保険料の納付義務があります。雇用保険は、原則として、1つの会社でしか加入できません。そのため、賃金額の高い方の会社でのみ加入することになります。
・社会保険については、雇用保険と同じで、賃金を支払っている会社に保険料の納付義務があります。
・転籍は、転職と基本的には変わりませんので、転籍先の会社(出向先)が賃金、保険料を支払います。

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