あなたの会社は、どうやって労働時間を管理していますか?‐社員の労働時間を適正に管理する方法とは‐

弊社では、労働時間の管理について、システムを導入して、社員が「打刻」及び「出勤・退勤時刻の入力」をする運用となっております。社員からは、どちらか一方でいいのでは!?といった問い合わせが多数あり、どうやら重複する作業を嫌がっているようです。どのように、対応をすればよろしいでしょうか

回答

会社には、社員の労働時間を適正に管理する義務があり、多様な働き方が増え、画一的に勤務実態を把握できない環境において、その重要性は高まっております。2019年4月からは(労働安全衛生法の改正と形で)、会社に対して、労働時間を適正に管理するよう、法文化をもって、明確に求められることになりました。

「適正な管理」を行うにあたっては、多くのデータがあれば適正化が増す反面、そのために、社員や会社(人事担当)に過度な負担を生じさせるのであれば、結局何をしているのか分からない・・、管理方法と業務効率のバランスを考える必要があります。

 では、社員が主張する「一方のみ」の管理を採用した場合について、考えてみましょう。


◆「打刻のみ」で管理
所定の始業時刻からしっかり業務を開始できるよう、各自が各々の準備をするため、一般的に、打刻時刻と始業時刻にはズレが生じるものです(始業時刻と完全に一致させて、打刻を要求することはないでしょう)。
残業は、所定の終業時刻後のみに限らず、始業時刻前でもありえます。打刻時刻を労働の開始時間とした場合、(打刻が1分前でも、その1分間は)、「早出(残業)時間」として割増賃金の対象となります。数分ぐらい削っても・・と思うかもしれませんが、労働法で認められている端数処理に、「1日単位」で数分でも削除する処理は認められず、そのような処理を行えば、違法となります。終業時刻でも同様のことがいえます。
裁判例(三晃印刷事件等)では「打刻」をもって労働時間とするものもありますが、会社にとって、そういった性質(各自の準備、在社証明等)の打刻をも労働時間に含めるのは、納得できないでしょう。
また、いつも打刻できる状況にあるとは限らない場合(直行・直帰、責めに帰すべきでない打刻忘れ)を考えると、「打刻のみ」で管理するのは無理がありそうです。


◆「出勤・退勤時刻の入力のみ」による管理
「打刻」はリアルタイムであることが一般的であり、その反面、「入力」は事後も可能となります。「入力」は、換言すれば、「自己申告制」であるため、その弊害、勤務(残業)時間の過少申告を見過ごすわけにはいきません。現在は、法改正によって「自己申告制」に加えて、客観的な情報で、その正しさを担保する必要があり、純粋な「自己申告制」を採用する場合、そうしないといけない理由(やむを得ず客観的な方法により把握しがたい事情)が求められます。
他方で、社員の責めに帰すべき事由によって、業務をしていない(遅刻・早退等の)場合にも関わらず、事後申告によって、通常通りの勤務をしていた外観を作り上げることもできます。上長等が現認をすれば問題はないですが、場所的・時間的に離れたところに、上長がいることも珍しくないので、必ずしも十分とはいえないでしょう。

 以上を踏まえると、御社は、社員の労働時間を適正に管理するために、「打刻」及び「入力」の両方を採用されていると思います。互いのデメリットを補いつつ、社員・会社(人事担当)に過度な負担を生じさせない、バランスの取れた、妥当な方法といえるでしょう。
「打刻」及び「入力」が(一見して)重複する作業だと思っている社員には、人事担当として、上記の弊害や不十分さを踏まえて、分かりやすく簡潔に説明しましょう。勤怠の把握・適正管理は、社員の協力があってこそ、成し遂げられるものです。

加えて、注意すべきことは、
① 管理監督者の地位にある社員にも「打刻」と「入力」をお願いしましょう。
「管理監督者の勤怠管理は不要」との誤解が少なからずありますが、深夜割増賃金の計算で用いる、といった給与計算上必要という意味にとどまらず、会社は「管理監督者を含めた」社員全員の労働時間を適正に管理することが法改正によって義務付けられたからです。

② パソコンのログイン・オフ時刻も、労働時間の管理・把握方法として、取り入れてみる。
ログイン・オフの作業は、通常行うものであり、社員に新たな負担は生じることはないでしょう。ログイン・オフ時刻と、打刻や入力の時刻との間で乖離があれば、その乖離の原因を考え、なくす取り組みが必要となりますが。そう考えると、入力に限らず打刻にも「自己申告制」の問題が潜在しているといえます。

このように、労働時間の適正な管理方法を考えるにあたって、その会社の実情、負荷の抑制等、いろいろなバランスを考慮しなければならず・・「これ!!」といった明確な正解はないでしょうが、社員との信頼関係を築きつつ、より妥当な方法を探りましょう。そのような取り組みは、社員及び会社の双方を守ることになり、無駄にはならないと考えます。
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公開日: 労務管理 勤怠・休憩時間

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