「有期」雇用契約における退職について

民法によると、例えば、半年の有期雇用契約を結んでいるパート社員については、法的に、会社及び社員の双方が半年の雇用契約に拘束され、直ちに退職をすることができないが、「やむを得ない事情」がある場合は、例外として、直ちに退職が可能となる。
そのため、半年の雇用契約を結んだ社員から、契約締結の2ヶ月後(契約期間が、まだ4ヶ月残っている)に退職の申出があった場合に、やむを得ない事情に該当しなければ、会社による人員補充や業務の引継ぎの関係上、社員の退職日を契約期間満了時まで延長させることができる。このような認識で良いでしょうか?

回答

 民法第627条1項では、「無期」雇用契約の場合、社員が退職の申出をした日から2週間の経過によって、契約が終了する旨を規定しております(法的に、退職理由は不問)。
他方、「有期」雇用契約だと、民法第628条で「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむ得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。」
と謳っており、「有期」雇用契約では、退職理由が問われております。
そこで(本件が1年未満の雇用契約で、労働基準法第137条の適用範囲外であることを前提として)考慮するに、退職理由の如何によっては、ご認識されているように、退職日を契約期間満了時まで延長することが可能、と条文上そのように読めますが、そもそも民法は、契約当事者を「対等かつ合理的」であることを前提として規定しております。すなわち、事実上の力関係がある、使用者と社員(労働者)という雇用関係では、特別法たる労働法が適用され、特に弱者とみなされる社員(労働者)側に対して、手厚い保護がなされております。
もちろん、特別法にない事項は一般法である民法の条文が適用されるわけですが、その解釈は、結局労働者保護に重きを置くことになり、社員側による「やむをえない理由」の範囲は比較的広く解されやすくなります。換言すると、社員側による「やむをえない理由」は認められやすく、よって、退職の申出をした社員の同意なくして退職日を契約期間満了時まで延長するのは難しいといえるでしょう。
退職の申出を認めざるをえないことは、会社にとって、弊害が多々あるかもしれませんが、意欲のない社員を在籍させることが、果たして会社の利益となるのか、そのような発想をすると、条文を盾に取って社員と事を構えることは得策ではない、と言えます。
また、上記民法の規定は、両者の合意がない場合に適用されるものなので、両者合意の上で退職日を可能な限り延長することは可能で、その間に人員の補充や業務の引き継ぎを終わらせ、契約関係を終わらせる方向へ持っていくことが現実的だと考えます。
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SR人事メディア編集部
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