社用車修理費用は給与から天引きできるか
現在、社用車を多数業務で使用しておりますが、事故が度々発生しているため、今後事故をした場合に当該当事者に修理費用の一部を負担してもらうことになりました。
負担額は過失割合や修理費用によってその都度決める予定です。
その金額を給与から控除することを検討してますが、その場合全額払いの原則に違反するかと思います。その際には、当事者から同意書を取得すれば給与から控除しても問題ないでしょうか。
また、負担額が高額になった場合に労基法91条の減給の制裁に抵触することはあるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
回答
まずご質問のような事故の場合の修理費用であれば損害賠償請求であり、制裁処分ではありませんので、労基法91条の減給の制裁は適用されません。
労基法24条では賃金の全額払いが規定されています。
ただし、例外的に次の2つの場合に限り、給与からの天引きが認められています。
①所得税や社会保険料など法令に別段の定めがあるもの
➁労使協定で定められたもの
なお、➁によって控除できるのは購買代金、社宅・寮その他の福利厚生施設の費用、社内預金、組合費等、支払いの事由や金額が明白なものに限られます。
損害賠償金は発生原因や社員の過失の程度、損害額の評価など不確定な要素が多いことから、例え労使協定に盛り込んだとしても給与からの天引きは認められないとされています。
例外として労働者が損害賠償金を給与天引きすることについて合意している場合に認められるケースもありますが、その「合意」が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的理由が客観的に存在することが求められますので、ハードルはかなり高いと言えます。
トラブルを防ぐ意味でも、また社員への意識付けの面からも、損害賠償金を給与から控除することはせず、別途請求し、支払ってもらうようにすべきです。
労基法24条では賃金の全額払いが規定されています。
ただし、例外的に次の2つの場合に限り、給与からの天引きが認められています。
①所得税や社会保険料など法令に別段の定めがあるもの
➁労使協定で定められたもの
なお、➁によって控除できるのは購買代金、社宅・寮その他の福利厚生施設の費用、社内預金、組合費等、支払いの事由や金額が明白なものに限られます。
損害賠償金は発生原因や社員の過失の程度、損害額の評価など不確定な要素が多いことから、例え労使協定に盛り込んだとしても給与からの天引きは認められないとされています。
例外として労働者が損害賠償金を給与天引きすることについて合意している場合に認められるケースもありますが、その「合意」が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的理由が客観的に存在することが求められますので、ハードルはかなり高いと言えます。
トラブルを防ぐ意味でも、また社員への意識付けの面からも、損害賠償金を給与から控除することはせず、別途請求し、支払ってもらうようにすべきです。
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