産休から一度復職し育休を取得することはできるか

当社では労使協定により勤続1年未満の場合、育児休業の取得ができないこととなっております。
今回産前産後休業を取得することとなった社員がおりますが、現在勤続年数が1年未満です。産後休業終了日翌日時点においても勤続1年未満となるため、育児休業を取得することができません。
そこで、当該社員へ産前産後休業を取得してその後一時的に復職し、勤続年数が1年を満たしたところで育児休業を取得するという方法を提案しようと考えておりますが、何か問題となることはありますか。

また、当該社員が給付金を受給する際、通常の手続きを行う際と異なる点があれば教えて下さい。

回答

労使協定で勤続1年未満の者を育児休業が取得できる社員から除外している場合、「1年未満」を判断するタイミングは「育児休業申出の時点であること」とされています。よって産前産後休業を取得し、一旦復職して要件を満たしたところで育児休業を取得することは、特段問題ございません。

貴社育児休業規程において、「育児休業は原則として育児休業を開始しようとする日の1か月前までに申し出ることが必要である」との記載がある場合、申出の1か月後から育児休業開始となります。
また、申出が遅れた場合は、会社は、社員が休業を開始しようとする日以後、申出の日の翌日から起算して1か月を経過する日までの間で休業開始日を指定することができます。

以下、給付金等の手続きについてです。

<育児休業給付金>
「雇用保険に加入しており、かつ育児休業を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12ヵ月以上あること」という受給要件があります。なお、上記のとおり育児休業を開始した日を起点として被保険者期間の要件を満たすかを見ることが原則ですが、令和3年9月1日から産前休業開始日を起点としてみなし被保険者期間を算定できることとなりました。

この「通算」は、貴社に勤務されている期間のみでなく、前職退職日の翌日が貴社入社日前日から起算して1年以内にあり、その離職による基本手当など失業給付の受給資格の決定がされていない場合にも可能となります。
通算する場合は通常の手続き書類に加えて前職の離職票が必要になりますので、ご本人にご確認下さい。

ご提案のように、一旦復職し、会社の要件を満たした後に育児休業をすることとなった場合は、その育児休業開始日から受給となります。
会社の要件を満たさないものの、前職と通算して被保険者期間の要件を満たす場合が考えられます。育児休業給付は「1歳未満の子を養育するために『育児休業』を取得した被保険者であること」が前提ですので、復職できず、欠勤扱いとなった場合は欠勤扱いの期間は受給できず、上記と同様、育児休業開始日より受給となりますので、ご注意下さい。

女性の被保険者は、多くは産前産後休業から引き続いて育児休業を取得しますが、産後休業終了日翌日以外の日が育児休業開始日であるときは、女性の被保険者であっても「育児休業申出書」や「育児休業取扱い通知書」などが必要となります。必要書類の詳細は管轄のハローワークにお尋ね下さい。

<出産手当金>
通常通りご記入の上ご申請いただくこととなります。健保組合によっては、資格取得期間が1年未満のときには添付書類が必要な場合がありますので、加入されている保険者にご確認下さい。
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公開日: 労務管理

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