有給休暇中に自宅で仕事をした場合に会社がとるべき対応とは?

子供の体調不良のため有給を取得中の従業員が、自らの意思で自宅にて仕事用に貸与しているPCで仕事をしていました。

会社から仕事をするよう指示をしたわけではありませんが、当該従業員の後輩が電話等で相談を仰ぎ、後輩のみでは対応しきれないと判断した本人が、自宅で出来る範囲で業務を行っていたようです。

当該従業員は、ずっと業務をしていたわけではないので別途賃金はいらないと言っているのですが、この場合、どのような対応をするべきでしょうか?

回答

自宅で業務を行った時間が労働時間にあたる場合には賃金の支払いが必要になります。

質問文より、具体的に業務を行った時間が把握できないため、業務を行った時間はごく短時間だったという前提で回答いたします。

まず、労働時間とは一般的に労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かによって判断されます。今回の場合、本人が独自に判断して業務を行ったとのことですので、業務を行った時間は労働時間にあたらないと解釈できます。
しかし、業務指示や指揮命令がなかったとしても、暗に自宅で業務を行わなければならない必要性があったと明らかに判断される場合には、いわゆる「黙示の業務命令」があったとみなされ、賃金支払の義務が発生します。

次に、有給休暇は労働義務を免除するものですので、厳密にいえば労働時間分は有給休暇を取得しなかったものとして取り扱うことになりますが、今回の場合、ご本人は別途賃金を請求していないため、そのまま有給休暇を取得したとして対応しても問題になることはないでしょう。

今回のケースのように、やむを得ない事情で突然、休暇を取得することは今後も想定されます。従業員の方には、勝手に有給休暇中の社員に連絡せず、まずは上司に相談する、また、休暇前の引継ぎをできる限り行うよう指導してはいかがでしょうか。
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