勉強の時間は労働時間としないとする就業規則の変更は可能か

 

弊社では法改正に伴い、 従業員の残業時間を減らす取り組みをしており、就業規則の変更も予定しております。
具体的には月30時間を超える残業は原則禁止とします。
繁忙期等、やむを得ない事情がある場合は、事前申請のうえ月45時間を上限とする予定です。

 

社内では当該取り組みは概ね歓迎されているようなのですが、一部では「業務のための勉強時間が確保できなくなるので、残業時間の上限が狭まると困る」という声も上がっています。

 

弊社では、今までは社内で取得を推奨している資格の勉強など、業務に関わる勉強であれば労働時間として申請することも許可していたのですが、今後は就業規則上も禁止と明記したいと考えております。
これは不利益変更にあたり、労働者から反対意見が出ている以上、 就業規則の変更はできないのでしょうか。

回答

今まで明示であれ黙示であれ、「労働時間」として会社が公然と認めていたのであれば、それを禁止するという就業規則の変更は不利益変更とみなされる可能性はございます。
不利益変更か否かは個別具体的に裁判所が判断することになりますが、そもそも「業務に関わる勉強時間」を労働時間に含めないとする就業規則が労働基準法に反していないかの確認が必要です。

労働基準法上の労働時間とは、労働者が客観的にみて使用者の指揮命令下に置かれたものと評価される時間のことを言います。
参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間は、「研修」や「勉強」と呼ばれていたとしても労働基準法上の労働時間に含まれます。

本件のような社内で取得を推奨しているような資格の勉強時間など、業務命令下で行われていると解されるものは労働基準法上の労働時間に含まれますので、就業規則で労働時間としない旨を明記してもその部分は無効となります。


なお、単なる自己啓発のような労働者の自己判断のもと行われている勉強時間までを労働時間に含める必要はございません。
業務外の勉強を業務時間には行わないよう就業規則に明記することは一般的にも何ら間違ったものではなく、御社でも労働時間として認めていなかった部分かと存じますので、不利益変更とはなりません。


法改正に合わせた残業時間の上限設定は不可欠なものですので、就業規則の変更に反対している従業員に対しては、当該従業員の「勉強時間」が何を指しているのかを明らかにしたうえで、残業時間の上限を超えないようにしていただくのがよろしいかと存じます。
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SR人事メディア編集部
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