2回目の育休の取得希望は拒めるのか?

昨年2月に育児休業を1年間取得した男性社員がおります。夫婦ともに当社の従業員であったため、夫婦で育児休業を取得していました。

今年2月に復職しましたが、今年3月に2人目の妊娠が判明し、奥さんの方は退職をしました。

 

その後、最近になって2度目の育児休業取得を希望してきました。

1回目の時も、当社では男性の育児休業取得の実績は無く、1年間は会社としても厳しいという旨を伝えましたが、本人の希望が強くやむなく了解しました。

 

今回、2度目の育児休業の希望があるという連絡がありました。当社としては1回目は1年間なんとか取らせることができましたが、現在の業務や立場も含め、仮に取らせることが出来ても長期は難しい旨を伝えたいと思っております。

法律的・道義的に問題があるのか、教えていただけますでしょうか。

回答

育児休業を拒否することは法令違反となります。育児休業は法律に基づき、性別にかかわらず労働者が請求できる権利であり、育児休業の申出を拒むことはできません。


育児介護休業法第6条に、事業主は労働者から育児休業の申出があったときは当該育児休業申出を拒むことができないと定められています。
また、配偶者が専業主婦(夫)である場合にも、育児休業を取得することができます。但し、パパ・ママ育休プラスの制度は、パパとママがともに育児休業を取得できることが前提条件となっているため、夫婦のどちらかが就業していない場合は取得できません。

性別にかかわらず、条件を満たせば、育児休業給付金は申請できます。また、育児休業期間中の社会保険料も免除されます。当然ですが、子の看護休暇も取得できます。使用者側に時期変更権はありません。

育児休業を取得したことを理由に不利益な取り扱いをすることは禁止されています。
男性が育児休業を取得することがまだまだ浸透していない会社もあることでしょう。しかし、不当な圧力をかけたりすれば、法違反となり、行政による指導、勧告、企業名公表などの対象となります。


育児・介護休業は一定の要件を満たす労働者全てに認められた権利です。
但し、以下の内容の労使協定により適用除外とすることができます。
・入社1年未満の労働者
・申出の日から1年以内(介護休業は93日以内)に雇用期間が終了することが明らかな労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
上記以外はどのような事情があっても「申出を認めない」ということはできません。また、年次有給休暇のように時季変更権は認められていません。
会社の対応として、法律のルールとは別に延長や短縮、あるいは休業の取得時期について従業員と十分に話し合い、相互の折り合いが可能であれば協力を求めることは全くできない訳ではないと考えますが、決して強制的にならないように配慮することは不可欠です。
今回のコロナウイルス感染症の対応として、リモートワークや時差出勤など働き方の多様性を模索実行しているこの時期に、育児・介護を担う従業員の働き方について見直しをしてはいかがでしょうか。
働き方に多様性を持つことで、会社と従業員の折り合いの幅が広がるいい機会と捉えましょう。

くるみん、プラチナくるみん認定制度
「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。広告等に表示し、高い水準の取組を行っている企業であることをアピールできます。検討してみてはいかがでしょうか。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

公開日: 労務管理 育児介護休業

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑