人事業務のシェアードサービス化のコツとは?

グループ会社間でのシェアードサービス化にあたり注意すべきことはなんでしょうか。

 

(1)人事業務のどの範囲をシェアードサービス化するのが一般的なのか

(2)シェアードサービス化するにあたり、(1)の判断をアウトソースすべきか自前で行うべきか

(3)上記(2)の判断基準について、金銭面以外の注意点は何か

 

以上3点について教えてください。

回答

人事業務のグループ内のシェアードサービス化によるアウトソースについて、頂いた3点のポイントにそって回答をさせて頂きます。


(1)一般的に、どのような人事業務をどのレベルでシェアードサービス化しているか

 一般的にグループ間の人事業務をシェアードサービス化する際は、オペレーション分野である「勤怠管理」「給与計算」そして「社会保険手続き」等の業務をシェアードサービス化することが多いようです。
 採用、育成、労務管理、人事制度設計といった分野については企業ごとに戦略、方針がことなり、個別対応が求められることから、スケールメリットも出にくくシェアードサービス化するにはそぐわないのが一般的です。
 上記のオペレーション業務をシェアードサービス化する際のレベルについては、グループ内各社人事部の負担を少なくするには、勤怠管理確定する前の段階からアウトソースするのが望ましいのですが、ある程度の専門性が求められるため、勤怠確定まで毎月行ってからシェアードサービス部門に引き渡すという運用をしている会社が多いようです。


(2)その判断の切り口は何か

 どの部分をアウトソースし、どの部分を内製化するかは企業の人事戦略の考え方によります。社内で新卒社員や若手社員を人事部門に配属し、専門性の高い人材を育てる際は、当初は勤怠管理や給与計算をキャリアのスタートとして位置づけることは現場との接点をつくる上でも、ある意味職場ごとの、「労務管理情報」「人件費情報」の固まりである勤怠情報、給与計算を1年〜3年程度行うことは重要であるという考え方もできます。
あるいは、オペレーション業務は全てシェアードサービス化して、各社人事スタッフやより企画的な仕事、研修企画や労務対応、環境整備、メンタル対策、人事制度設計といった分野に特化させるというのも一つの考え方となります。
この点は貴社の人事戦略、スタッフ育成の考え方により決定すべきかと考えます。
 また、判断の際にはシェアードサービス会社をグループ内に設置し、各社の管理部門の出向スタッフでオペレーションをする場合などは、給与水準が各グループ会社に準ずるため、せっかくオペレーション業務をまとめてアウトソースにしても、Costがあまり下がらず、かえって専業の外部のアウトソーサーに依頼したほうがリーズナブルで、グループ会社がシェアードサービスを使っていない、という事例もよく聞く話ですので、留意するべきかと存じます。


(3)アウトソースするのか、自前で実施するのか、金銭面以外は下記を考慮すべきだと考えます。

 a)人事スタッフの育成の考え方
  ((2)に記載。新卒、若手から育てるかスキルのある中途社員で構成するか)
 b)優先度
  (たとえば時期的に人事制度を変更する必要があるなど、企画業務に社員が専念すべきかどうか)
 c)クオリティ
  (特殊な業務をしている場合など、アウトソースによりクオリティを確認できるか)


最後に、アウトソースする場合は会社により得意、不得意がありますし、単純に金銭面のみで比較するのではなく、「どの範囲まで対応してくれるのか」「過去の実績(同業種、同規模、同運用の実績があるかどうか)」「クオリティ確保のための注力ポイント」「自社の特殊な処理、運用にどこまで対応してくれるか」等を、提案を受けた後、一度自社で整理し、同条件にならして数社比較してみることをおすすめいたします。


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