試用期間延長?注意点について

当社では新入社員には三か月の試用期間を設けていますが、現場の責任者から、試用期間を延長したい旨の相談を受けました。

延長を行うことになった場合、何か注意するべきこと等ありますでしょうか。

回答

試用期間の延長について、合理的な理由が必要とはされていますが、延長自体を制限する法律はありません。しかし、試用期間中の労働者は、会社が解雇についての権利を留保している状態になるため、社会的に不安定な立場であり、無制限に延長を認めるのは望ましくありません。これに関しては以下のような判例があります。
・「試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれるものであるから、労働者の労働能力や勤務態度等についての価値判断を行なうのに必要な合理的範囲を越えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し、その限りにおいて無効であると解するのが相当である。」(1984年 ブラザー工業事件)
・「期間を定めずになす試用期間の延長は、畢竟(結局)何回にもわたる延長を認めることにひとしく、解雇保護規定の趣旨から到底許されないところであり、右期限を定めずになされた延長は、相当な期間を超える限度において無効というべきである。」(1973年 上原製作所事件)

また、試用期間の延長は、労働者にとって不利益な内容であることから、就業規則上に延長することができる旨を定めておく必要があります。

以上のことから、御社の就業規則上での上記規定の有無、また延長の期間についてご確認の上判断されるのが良いかと存じます。
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