【2022年】確定拠出年金制度改正でiDeCoはどうかわる?
目次
はじめに
2022年4月から確定拠出年金制度が改正されます。長期化する高齢期や高齢者の就労の拡大が背景にあり、年金制度の加入範囲や受給開始時期の選択肢の拡大がポイントになっています。今回は耳にする機会の多くなったiDeCo(イデコ)に関する改正ついて、ご案内します。
1.iDeCo(イデコ)とは?
日本の年金制度は3階建ての構造になっています。1階が国民年金、2階が厚生年金で国が管理・運営する「公的年金」です。3階は公的年金に加えて企業や個人が任意で加入する「私的年金」です。
iDeCoは、私的年金の一つです。
日本は世界でも有数の長寿国であり、また少子も進んでいます。公的年金に加えて長期化する老後の資産を自身で準備するための制度として国が整備したのが、個人型確定拠出年金、通称iDeCoです。平成14年1月より制度運用がスタートし、加入者は年々増加しています。
iDeCoについて、簡単に説明します。
①仕組みについて
自分で毎月一定の金額を積み立てて(掛金を拠出し)、運用します。
掛金は60歳になるまで拠出し、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
商品は金融機関が取り扱っていて、専用口座を開設する必要があります。元本確保型(定期預金、保険)と元本変動型(投資信託)があり、ご自身で選定と申し込みが必要です。
金融機関に対し、加入時や運用期間中、受け取り時にも手数料が発生します。
②加入対象者について
日本在住の20歳以上60歳未満の国民年金被保険者の方が加入できます。
③掛金について
月額5,000円からはじめることができ、1,000円単位で上乗せできますが、会社員か自営業か等の職業によって、いくつかに上限金額が定められています。会社員の方で、企業年金に入っていない方の上限金額は月額23,000円です。掛け金は、年に1回まで変更ができます。
④老齢給付金の受け取り方について
受け取り方は一括(一時金)、分割(年金)、一時金と年金の併給から選べます。
60歳になるまで、原則として資産を引き出すことはできません。
⑤税制優遇メリットについて
・毎月の掛金は全て所得控除の対象となり、所得税や住民税が節税できます。
・運用時の定期預金利息や投資信託運用益も、非課税になります。
・老齢給付金の受給時は、一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合は公的年金等控除の対象となります。
※ご参照ください※
2.2022年の確定拠出年金制度改正について
2022年確定拠出年金制度改正で、iDeCoに関する内容は、主に3点あります。
2-1.受け取り開始可能年齢が75歳まで拡大されます【2022年4月~】
2022年4月から、公的年金の受給開始時期の選択肢の拡大に併せて、企業型DCとiDeCoの老齢給付金の受給開始の上限年齢70歳か75歳に引き上げます。これによって、企業型DCとiDeCoの老齢給付金は、60歳(加入者資格喪失後)から75歳に達するまでの間で受給開始時期を選択することができるようになります。
2-2.iDeCoに加入できる年齢の要件などが拡大されます【2022年5月~】
現在、iDeCoは60歳未満の国民年金被保険者が加入可能でしたが、高齢期の就労が拡大していることを踏まえ、新たに下記の方がiDeCoに加入できるようになります。
・会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)で60歳以上65歳未満の方
・60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方
・国民年金に任意加入している海外居住の方
2-3.企業型DCとiDeCoの同時加入要件が緩和されます【2022年10月~】
企業型DC(企業型確定拠出年金)は「私的年金」の一つで、会社が掛金を拠出し、従業員が自分で運用しながら受け取る制度です。企業型DCに加入している方がiDeCoに加入するには、各企業の規約に定めのない場合は、変更するという労使の合意が必要でしたが、2022年10月からは本人の意思だけで、原則加入できるようになります。
企業型DC加入者のiDeCoの加入要件として、下記があります。
・企業型DCの事業主掛金が月の上限(55,000円)の範囲内で各月拠出であること
・iDeCo の掛金が55,000円から各月の企業型DCの事業主掛金を控除した残余の範囲内 (上限20,000円)で各月拠出であること
・企業型DCのマッチング拠出(加入者掛金拠出)を利用していないこと
マッチング拠出とは、企業が拠出する掛金に加えて、本人が掛金を上乗せして拠出できる仕組みです。マッチング拠出を勤務先が導入している場合は、マッチング拠出とiDeCoのどちらかをご本人で選択できます。
また、企業型DCと確定給付型に加入する方は、上限の金額が変わります。
詳細は下記のパンフレットをご参照ください。
※ご参照ください※
おわりに
人生100年時代、定年の延長や老後に働く方も増えていく一方、少子高齢化は進んでいきます。今回の法改正には、このような背景があります。これを機に老後の資産形成について、見直してみてはいかがでしょうか。
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