【随時更新】退職後の保険手続きは何がある?社員に伝えたいことまとめ

社員の方が退職する際、保険関係の手続きについて質問を受けることは多くありませんか?
また、もしもご自身のまわりで事業所の閉鎖や事業縮小による人員削減が発生することとなったとき、手続きにプラスしてどのような情報を伝えられるでしょうか?
今回は、退職者が退職日以降に行う必要のある手続きである、雇用保険失業給付、健康保険、年金の手続きについて、細かく説明をしていきたいと思います。

 

まず、人事ができること

このあと雇用保険失業給付、健康保険、年金の手続きについてご説明をしていきますが、国民健康保険・国民年金の切替には退職日を証明する書類が必要になります。
通常は離職票をご利用いただくことが多いですが、退職後すぐに離職票を発行することはなかなか難しいかと思います。
そこで、退職日が到来した段階で退職証明書を発行し、ご本人にお送りすると、そちらを元に手続きを開始することができるため、お勧めしております。(◆1)

13退職証明書

雇用保険失業給付の受給認定手続き

手続き方法

①窓口:お住まいの市区町村のハローワーク
②必要なもの:雇用保険離職票、個人番号確認書類、身元確認書類の原本、写真、印鑑、本人名義口座確認書類 等
③受給決定
受給額については、お手続きの際、窓口でご確認いただくこととなります。

※ここで発行されます雇用保険受給資格者証は、退職理由によっては別の手続きでも使用することがあります。(◆2)

 

健康保険加入手続き

ご退職後の健康保険は2種類あります。

【市区町村が主体の国民健康保険に加入する】

手続き方法

①窓口:お住まいの市区町村の国民保険課(名称は自治体によって異なります)
②必要なもの:身分証明書、 本人名義口座確認書類、印鑑、退職証明書(◆1) 等
③手続きの時期:退職日から14日以内

保険料の納付

上記の手続きが終了すると、市区町村からご自宅に納付書が届きますので、保険料を現金(金融機関・郵便局・コンビニ)または口座振替で納付することとなります。
保険料は前年の1月1日~12月31日の収入等によって計算されますが、詳細はお住まいの市区町村にてご確認下さい。

※国民健康保険料の軽減について(会社都合退職の場合)

離職理由によりますが、いわゆる会社都合退職の場合はこちらを受けることができます。(判断基準はこちらをご確認ください)

平成21年3月31日以降、65歳未満で離職し、雇用保険の特定受給資格者および特定理由離職者と認定されている方は、雇用保険受給資格者証の提示により国民健康保険料の軽減が受けられます。
対象者の前年の給与所得のみを100分の30に減額して保険料が算定されます。
軽減対象期間は、離職日の翌日の属する月から、その月の属する年度の翌年度末までです。 (対象期間内で他の保険に加入した場合は、国民健康保険の資格喪失日まで)
詳しくは、国民健康保険の切替の際に窓口でお聞きください。

必要なもの:雇用保険受給資格者証(◆2)、国民健康保険の被保険者証 、個人番号確認書類 等

 

【会社で加入している健康保険組合に継続して加入する(任意継続)】

手続き方法

①窓口:現在会社加入している健康保険組合
②必要なもの:住民票、健康保険証(在籍時のもの)、本人名義口座確認書類、印鑑 等
③手続きの時期:退職日の翌日から20日以内

保険料の納付

1か月ごと、または年度単位で前納のどちらかになります。(1年分を一括払いすると割引がある場合もあります)
手続きが終了すると健保組合から納付書や案内が届きますので、これ以降は納付書で納付します。
会社で負担していた金額も個人で負担することとなるため、退職時の健康保険料の本人負担分(健康保険料・介護保険料合わせた金額) の2倍の金額となります。

任意継続の資格喪失

以下に該当した時、資格を喪失します。
・任意継続被保険者の資格期間2年間が満了したとき
・任意継続被保険者が死亡したとき
・保険料を期限までに納めなかったとき
・後期高齢者医療制度の被保険者となったとき(75歳~)
・再就職をして他の健康保険等の被保険者となったとき

※期の途中で就職し、新しい勤め先の健康保険被保険者になった場合は、按分した金額が還付されます。
還付の請求はご自身で健康保険組合にお申し出の上、指示を受けて下さい。
尚、前納分が還付されるのは、期の途中で就職した場合のみとなり、国民健康保険への切替を理由とした還付は認められませんのでご注意ください。

 

国民年金加入手続き

手続き

①窓口:お住まいの市区町村の役所国民年金課(名称は自治体によって異なります)
②必要なもの:年金手帳、印鑑、本人名義口座確認書類、退職証明書(◆1) 等
③手続きの時期:退職日の翌日以降

保険料の納付

1か月ごとまたは年度単位で前納(1年分一括払いすると、保険料の約1.8~2.1%が割引されます。)
保険料は16,410  円/月です。(令和元年度:平成31年4月~令和2年3月まで)
上記の手続きが終了すると、市区町村からご自宅に納付書が届き、現金(金融機関・郵便局・コンビニ)または口座振替で納付となります。
※1年分一括払いする場合は、現金または口座振替となります。

国民年金の資格喪失について

国民年金被保険者は以下に該当した時、資格を喪失します。
①日本国外に転出したとき
②死亡した時
③企業に就職して、厚生年金等に加入したとき [※2]
※一括払いした期の途中で就職し、新しい勤め先で厚生年金の被保険者になった場合は按分した金額が還付されます。
この場合は、年金事務所から案内書類が届きますので、そちらに従って手続きをして下さい。

手続きに必要なものについては、上記以外に必要になる場合がございますので、予め区役所に確認の上お手続き下さい。

※国民年金保険料の軽減について(会社都合退職の場合)

収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、保険料免除制度・納付猶予制度を利用することができます。
雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写しを持参することで免除・猶予申請を行うことができます。

国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度について(申請書はこちら

 

まとめ

今回は、退職後にご本人がしなければならない保険関係の手続きをご説明してきました。
今回は保険関係に限ってまとめましたが、そのほかにも、住民税、所得税(確定申告)といった部分について、ご本人に把握していただく必要があります。(別記事でご紹介します)
自己都合退職であれば、ご自身でもお調べになったり役所にご相談されるなどで準備を進めていただくことはできますが、会社都合退職となるとその準備もなかなかできないという方もいらっしゃいます。
退職の理由に関わらず、できるだけご本人の不安を和らげたいというときに、ぜひご活用ください。

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