まだ紙で消耗してるの?36協定届 電子申請のススメ

2019年4月に施行された働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制が設けられ36協定届の新様式が公開されました。

36協定届の手続きでは、事業所の多い会社様では紙の協定書や届書を郵送で扱うなど作業時間が大きいものとなりがちと思われますが、電子申請を行うことで作業時間を抑えることが出来ます。

今回は、36協定届の電子申請を行う際のポイントをご紹介いたします。

 

新様式に対応するタイミング

まず、新様式の36協定届に対応しなければならない時期をおさらいしましょう。まず、大企業と中小企業で時期が異なります。大企業では2019年4月から施行となり、中小企業では2020年4月から施行となります。また、経過措置に注意する必要があります。施行日と施行後にまたがる期間の36協定届を締結している場合には、その協定の初日から1年間に限っては、その協定は有効となります。つまり、4月1日開始の協定を締結し直す必要はなく、その協定の初日から1年経過後に新たに定める協定にて、上限規制に対応した届を行う必要があります。これから36協定の申請を行う場合、協定期間が4月1日を含むか否かにより対応が異なることとなります。

 

 

e-Govで電子申請が可能です

36協定届の申請と言えば、労働基準監督署に紙の届書を提出することが思い浮かびますが、実は電子申請で申請することも可能となっています。行政手続を会社のPCなどで申請するwebシステム「e-Gov(イーガブ)」の画面上で、紙の届書と同じ項目を入力することで事業所を管轄する労働基準監督署に申請することができます。

 

社会保険、雇用保険の手続きに関しては行政より電子申請システム「e-Gov(イーガブ)」の仕様が公開されているため、e-Govに対応している人事労務系のシステムを介して電子申請することが可能となっています。一方、労働基準法に定められている届出の電子申請については、現状では対応している人事労務系のシステムはなくe-Govからのみ行えるため、そもそも36協定届を電子申請で申請可能ということがあまり知られていないかと思われます。

 

労働基準法に定められている届出の電子申請が普及しない要因はもう一つあります。それは、社会保険労務士など社外に手続きを委託している場合に、委託先での電子申請時に必要となる添付データ「事業主の電子証明書」の準備に相当程度の手間がかかり活用の機会が少なかったためです。この点については平成29年12月に改正が行われ、社会保険、雇用保険の電子申請と同じく事業主印のある「提出代行証明書」をPDFで添付することで電子証明書の省略が可能となりました。今後、委託先で36協定届を申請する際には電子申請で行うことも選択肢としてご検討頂けます。

 

電子申請導入のポイントはこちら

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192115.pdf

 

 

電子申請のメリットとデメリットの比較

36協定届を電子申請で行った場合と紙媒体で行った場合のメリットとデメリットは次のとおりです。

事業所の多い会社様では、事業所ごとに届書を作成し本社にて取りまとめ事業所ごとの労働基準監督署に郵送するという方法で申請を行っているかと思いますが、電子申請では各事業所と労基署との郵送コストを削減できることが大きなメリットとなります。

 

また、令和元年6月までは電子申請では協定届の控えはweb上で発出されるコメントで届出を受け付けた旨の通知が送信されるのみでしたが、令和元年7月からは電子署名を付した電子公文書として審査完了後の控え文書等が発行され、ダウンロードが可能となりました。

 

電子申請のデメリットである電子証明取得費については、マイナンバーカードや住民基本台帳カードを使うと、電子証明書の取得の手間や費用がかかりません。

 

 

 電子申請の手順

36協定届のの電子申請の手順は次のとおりです。

①36協定届等作成に必要な情報の準備

電子申請をする場合も原紙となる36協定届の作成は必要となります。そのために、協定届に沿った項目の情報を準備します。具体的には、労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合と労働者の範囲、対象期間、有効期間などとなります。事業所数が多い会社様ではExcelファイルなどで一覧表を作成すると良いでしょう。

 

②36協定届等の作成・展開・回収

準備した情報に基づき36協定届を作成、支店や店舗などの事業所への展開、回収を実施します。展開の際、事業所向けに案内文を作成し、スケジュールや記入の注意事項を明記すると良いでしょう。

 

③~④電子申請

作成した協定届の内容に基づきe-Gov画面より協定申請用データを申請します。申請の際には添付ファイルとして協定届の原紙(データ形式:PDF、JPEG)、電子証明書が必要となります。事業所の数が多い会社様では、事業所ごとに同じ情報をe-Gov画面で入力、添付することになるので、予めExcelファイルなどで一覧表や添付ファイルの準備を行うことで作業の効率化が行えます。申請後、紹介画面から公文書(協定届書等に監督署の電子印が押されたもの)のダウンロードを行うために到達番号と問い合わせ番号を控えておきます。

※電子証明書とは、申請者が間違いなく本人であることを、信頼できる第三者(認証局)が電子的に証明するもので電子申請に必要となります。電子証明書は「ICカード形式」と「ファイル形式」の2種類があります。

 

⑥~⑦審査状況の確認と公文書のダウンロード

e-Govの照会画面から公文書をダウンロードし、36協定届の原紙と併せて保管します。

 

 

なお、例えば電子申請を外部の社会保険労務士などに委託した場合の手順は次のようになります。

 

 

電子申請の注意点

実際に協定届を電子申請するうえでの注意点をご説明します。

 

  1. 電子申請で使用可能な文字
  2. 36協定届での入力可能文字数
  3. 添付可能なファイル形式・サイズ上限
  4. 添付するファイル名
  5. 電子申請後の電子公文書の取得

 

1.電子申請で使用可能な文字

e-Gov電子申請システムでは、JIS第一水準漢字、JIS第二水準漢字となっており(以下参照)、環境依存文字(JIS第3水準漢字、第4水準漢字等)及び、機種依存文字を使用することができません。

使用可能文字一覧はこちら

https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/attention/about_letters02.html

 

2.36協定届での入力可能文字数

実際に締結した36協定届の内容をe-Gov電子申請システムの画面に入力して申請するのですが、項目によって入力できる文字数に上限があるため、締結をした36協定届の中で文字数が多い項目は内容の意味合いが変わらない程度に省略するなどの工夫が必要になってきます。

具体的な項目としては「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」の文字数制限は44文字までとなっており、「業務の種類(事業場外)」の文字数制限は54文字までとなっております。

 

3.添付可能なファイル形式・サイズ上限

電子申請システムで添付することができる書類は、以下の拡張子のファイルとなっており、これら以外のファイル形式の様式・添付書類等が送信されても、e-Gov電子申請システムでは受理されません。

 

  • 「.DOC」(ワープロソフトWordの文書ファイル)
  • 「.JTD」(ワープロソフト一太郎の文書ファイルVer.8以降)
  • 「.PDF」(PDF形式(文書管理/配布用)の文書ファイル)
  • 「.XLS」(表計算ソフトExcelのファイル)
  • 「.JPEG」(JPEG形式の画像ファイル)

 

なお、e-Gov電子申請システムでは社会保険関係手続・雇用保険関係手続の送信可能容量は以下の通りとなっております。

  • 1申請あたりの送信可能容量:下限なし~合計99MBまで
  • 1ファイルあたりの送信可能容量:下限なし~50MB以下

 

4.添付するファイル名

e-Gov電子申請システムでは上記1.と同様に使用できない文字があります。使用できない文字のファイル名の場合は電子申請時に、「ファイル名に指定できない文字が使用されています」旨のエラーメッセージが表示されますのでファイル名を変更します。

ファイル名に使用できる文字はこちら

https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/attention/about_letters02.html

 

5.電子申請後の電子公文書の取得

電子申請が正しく行われると最後に到達確認画面が出ます。

電子公文書を取得する際の状況照会で「到達番号」「問合せ番号」は必要となりますので、忘れずに保存してください。状況照会で「到達番号」「問合せ番号」を入力して、電子公文書をダウンロードします。労働基準監督署からの問い合わせや調査に対応できるよう、発行された電子公文書は必ずダウンロードして、締結した協定届の原本とともに会社保管します。

 

 

まとめ

36協定届の申請は、働き方改革以前も労働基準監督署にて厳しく審査がされていましたが、上限規制が設けられた今、より法律に即した実務対応が望ましくなるでしょう。36協定の労務相談、届出のご依頼は下記よりお問い合わせください。

 

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