新卒外国人留学生を採用した際、会社で行うべきポイントとは?

留学生の就職状況

 

平成28年5月1日現在の留学生数は、239,287人となっており、10年前と比べ約1.9倍に増えています。(独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)調べ)

 

一方、法務省により、平成27年に留学生が日本企業等への就職を目的として在留資格変更許可申請を行った件数は17,088件で、このうち15,657件が許可されています。ここ数年は増加傾向にありますが、留学生の日本国内の就職は簡単ではありません。

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留学生の就職先は、1000人未満の中小企業が約7割を占めています。また、そのなかでも50人未満の中小企業への就職が約4割を占めています。

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採用時に重視する能力

 

留学生の採用について、最も重視される能力は、「日本語能力」、次に「コミュニケーション能力」です。そのほかに「バイタリティ」、「熱意(志望度)」も重視されています。業種により、「専門性」、「英語力」も重視する会社もあります。

 

採用後必要な支援活動

 

外国人留学生が新卒社員として働く際には、様々な不安を持っています。そのため、内定先の企業から外国人内定者へ支援をしてもらう必要があることがいくつかあります。

今回はその中から以下の3点について説明します。

(1) 就労ビザの更新

 

在留資格を「留学」から就労可能な在留資格へ更新する

日本で就労可能な在留資格

①  職種、業種を問わず就労可能な在留資格

「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」

②  一定の範囲内の職種、業種、勤務内容に限り就労可能な在留資格

「高度専門職」、「教授」、「芸術」、「報道」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「技能」

 

在留資格変更の申請

原則、その年の1月から受け付けています。審査は1ヵ月から3ヵ月程度かかります。

 必要な書類

①  留学生本人が自分で作成するもの

a.本人名義のパスポート(または渡船証明書)及び在留カード

b.在留資格変更許可申請書http://www.moj.go.jp/tetsuduki_shutsunyukoku.htmlでダウンロードができます。申請書に3cm×4㎝ の証明用写真を貼り付ける必要があります。

c.申請理由書(審査の参考となります。必ず提出するものではありません。)

②  会社からもらう書類

  1. 法人登記事項証明書(申請前3ヵ月以内に発行されたものが必要です。)
  2. 雇用契約書のコピー(雇用期間に関する事項、就業の場所及び従事すべき業務内容に関する事項、就業時間に関する事項、報酬額等賃金に関する事項、退職に関する事項などについて明記されていることが必要です。)
  3. 年度の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー
  4. 会社案内
  5. 雇用理由書(審査の参考となります。)

大学・学校からもらう書類

卒業証明書(または卒業見込み証明書)

 

(2) インターンシップ体制

インターシップの目的は以下です。

外国人留学生にとって、インターンシップは重要な機会です。多くの留学生は日本でアルバイトをしたことがありますが、社員として働いたことがない。そのためインターンシップに参加することによって、日本の労働慣行を肌で感じたり、コミュニケーションスキルを学んだりし、入社後に働くイメージを持つことができます。また、日本は礼儀正しい国のため、日々のインターンシップを通して、挨拶や電話対応の仕方などのビジネスマナーの習得ができます。そのほか、実際の業務に携わる中で、業種の選択、企業の研究ができて、入社までに学校でどのようなことを学ぶべきかを明確にすることができます。

 

インターンシップのタイプは以下の通りです。

タイプ 研修内容 期間
見学型 職場を見学して、業務について説明を受ける。仕事を少しだけ体験できるものもある。 1日~1週間(短期)
講義型 講義形式で、業界・企業・仕事についての説明を受ける。 1日~数日(短期)
課題解決型 学生同士でグループワークをする。与えられた課題の解決に取り組む。 1~2週間
体験型 社員同様の業務に任される。社員同様の成果を求められることもある。 1ヵ月~2ヵ月(長期もある)

 

(3) 社内研修体制

同じ新卒の内定者であったとしても、外国人内定者にはビジネスマナー程度の社内研修では足りません。なぜならば、言語の壁があるとともに、文化や考え方などの違いもあるためです。外国人内定者の不安を減らすために、丁寧な社内研修が必要です。

具体的な内容としては、以下の通りです。

①  不安の共用

②  日本人の考え方の理解

③  日本企業の文化と心構え

④  日本語の使用(敬語、電話など)

 

 

まとめ

 

日本の企業は外国人新卒社員を採用したあと、ビザの期限と資格を確認すべきです。不法就労にならないように、日本の企業がビザ資格変更の書類を用意する必要があります。

また、外国人留学生は厳しい環境での就職活動を乗り越えただけでなく、母国から日本へ勉強するために来日していることから、意欲や行動力が人一倍あります。その力を最大限発揮してもらえるよう、日本の企業ができることを再確認していきましょう。

同時に、日本の企業は全力で応援して、常に外国人留学生がわからないこと、不安に思っていることを理解して、解決します。これからのグローバル社会へ向けて、是非グローバルな人材を育成して、各企業の戦力を育てていってください。

 

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