退職する社員には万全の対策を―――前編

皆さんこんにちは。

人事部サポートSR 2016年度内定者の石 竜菲です。

今週は『労務管理のツボとコツが絶対にわかる本』を読んで、退職トラブルについてお話させていただきたいと思います。

 

雇用保険の加入漏れはどうする?

 

「社員が退職するので離職票を手続きをしようとしたら、雇用保険に加入するのを忘れていました。どうしたらいいですか?」

このような採用時の雇用保険の加入手続き漏れが時々見られます。社会保険であれば「健康保険証」が発行されるので、もし加入漏れがあったとしても、社員から申出をしてくるでしょう。

 

しかし、雇用保険は会社が手続きを忘れてしまった場合、給料から雇用保険料が控除されていれば社員が加入漏れに気づくことは難しいため、退職時に判明することがあるのです。雇用保険の加入漏れの場合は遡って加入することができますが、2年超えて遡る場合には一定の条件が出てきます。

雇用保険の加入手続きを行っていない場合には、雇用保険の失業等給付を受給できない場合等金銭的な損害を被り、損害賠償の可能性も出てきます。

 

 

●遡って雇用保険の手続きを行う

 

以前は、遡って雇用保険の資格を取得する場合は、2年前の日を超えて行うことができませんでしたが、平成22年10月1日の改正法施行により、2年を超えての遡及適用ができるようになりました。

ただし、「2年超の遡及」と「2年以内の遡及」とでは必要な確認書類、手続きが異なってきます。「2年以内の遡及」においては、出勤簿、賃金台帳、雇用契約書、労働者名簿等の確認書類が必要となります。

なお、6カ月を超える遡及手続きの場合は、「遅延理由書」が必要となってきます。

 

一方、「2年超の遡及」については賃金台帳から雇用保険料が控除されていることが要件となります。「2年以内の遡及」では雇用保険料の控除を要件としていませんので注意が必要です。

なお、ハローワークによっては確認書類が異なることがあるますので、事前に確認を行いましょう。

また、遡って雇用保険の被保険者となり、賃金から雇用保険料を控除していなかった場合は、原則として雇用保険料は全額会社負担となります。ただし、事情によっては会社と社員との協議の上決定することになります。

 

 

●被保険者とならない者

被保険者とならない者 例外
法人の代表者、役員、個人事業所の代表者 役員であっても労働者的性格が強く、兼務役員として認められた場合
同居の親族 同居親族以外の社員がいる場合で次の要件に当てはまる場合
①    事業主の指揮命令に従っていることが明白である
②    就業実態及び賃金支払がその事業所の他の労働者と同様である
③    事業主と利益を一にする地位(取締役等)にはない
季節的労働者 季節的労働者があっても当初から4月以上の雇用契約の場合
学生 夜間定時制、通信教育の学生。休学中の者。
社会人大学院等の一定の出席日数を要件としない学校の学生の場合
家事使用人 家事以外の労働に従事することが本務の場合
65歳以上の高年齢者 65歳以前から引き続き雇用されている場合
外務員 事業主との委任契約であっても、雇用関係が明確な場合
複数の事業所に雇用されるもの 主たる賃金を受ける事業主に雇用されている事業所で雇用保険に加入している場合
国外の事業所に雇用されるもの 出張・派遣・出向によって、国外で就労する場合でも、
国内事業主と雇用関係が継続している場合

 

『労務管理のツボとコツがゼッタイにわかる本』より

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