投げっぱなしになってない?OJTを効果的に実施するために ②
こんにちは、2016年度内定者の大石です。
先週に引き続き、OJTについて迫っていきます!
前回、OJTをより効果的に実施するためには
◎ OJT担当者の業務量の調整やOJTの仕組みの整備
◎ OJT担当者の能力向上
が必要であることをお伝えしました。今回は、その1点目「OJTを生かすための仕組みの整備」についてお伝えしていきます。
OJTを生かす仕組みづくり
OJTを形骸化させないために最も重要な点は「現場任せ・担当者任せにしないこと」です。
計画的OJTがうまくかない理由「指導する側の時間不足」、「人材育成の重要性が社内に浸透していない」からも、新人育成が現場や担当者1人に任せられ、企業全体で取り組む姿勢が整っていないことが窺えます。
そこで今回は、現場や担当者だけに頼るのではなく、企業全体でOJT・人材育成に取り組むためのポイントを3点ご紹介します。
①はじめに一貫した育成計画を立てる
職場ごとにバラバラな育成をしていては、結局はOJT担当者の裁量に任されることになり、担当者の重い負担になったり、新入社員の成長に差が生まれたりします。指導担当者が教育・指導の着地点を理解していないと、とりあえず目先のことを教えるようになり場当たり的な指導しかできません。
したがって、会社全体としてどのように新人を育てていきたいのか、育成計画や育成方針が一致している必要があります。特に、新人の「育成目標」を明確にし、さらには職場の上司やOJTリーダーにとって目安となる「新人の成長プロセス」が明示されると、職場では取り組みやすくなります。
最初に実施計画を立てるだけでなく、節目でOJTリーダーや新人が振り返ることができる育成用計画シートを作成することも有効です。この進捗確認が伴って初めて新人の成長度合いを確認でき、上司やOJTリーダーは計画的に育成を進めることができます。
②1対1にしない ―OJT担当者のサポート体制を整える―
OJT担当者だけに新入社員育成を一任することには限界があると考えられます。そのため、OJT担当者の取り組みをサポートする支援、OJTだけではなく職場全体で取り組む雰囲気づくりが必要です。
例えば
・OJT担当者が新入社員の成長を確認するための評価ツールを用意する
・現場で困った時に相談できる場を確保する
・他のOJT担当者たちと情報共有できる場を提供する、共有できる仕組みをつくる
・経営陣(特にトップ)を巻き込み、節目ごとにOJTの意義、人材教育の重要性を発信していただく
などの工夫が考えられます。
また、そもそもOJT担当者と新入社員だけの1対1の構図にしない取り組みもあります。
―商社Aの事例―
1人の新入社員に対して2人の担当者をつけます。入社5年目のOJT担当者が業務指導と社会人としての人間指導を、新人と年が近い入社3年目のサポーターが精神的ケアとOJT担当者のサポートを行います。そして、職場管理者が全体コーディネーターとして、新入社員の成長や担当者たちの支援を管理しフォローする後押し型のリーダーの役割を担っています。
―医療法人Bの事例―
1人の新入社員に対してOJT担当者を1人つけますが、OJT担当者がすべてを教えるわけではなく、指導してくれる社員と新入社員をつなぐ役割を担っています。OJT担当者の負担が軽減されるだけでなく、職場全体で人材育成をする雰囲気をつくることや、新入社員との人間関係構築にも効果的です。
担当者1人が抱え込まないように、新入社員の育成を担当者に無責任に一任してしまわないように、
相談や意見交換をする場を設ける、育成の進捗状況を把握し管理するツールを使用する、職場全体で新入社員を育成する雰囲気を作る等のサポート体制を整えることが重要になります。
③次年度につなげるために「振り返り」も
OJT制度を「導入する」ときには説明会や研修などを実施するが、それ以降は特に手を施すことなく、そのまま現場任せにしてしまう。結果として制度を形骸化させてしまうことがあります。
その場合に有効なのは、1年毎に「振り返り」を行うことです。具体的には、アンケートを実施して、1年間の活動を通じての改善すべき点や良かった点などを回答してもらいます。例えば、OJT担当した人に対して、「これからトレーナーになる人へのアドバイス」のような具体的な回答が得られる設問を設定するのがコツです。そうして得られた回答をまとめ、制度としての改善点や他の担当者にも共有したい良い点をリストアップして、組織内で共有します。
そうして得た改善点や真似すべき点を、次年度の活動に活かし、年々続けることによって「制度自体の改善」や「組織全体の制度に対する社員の意識向上」につながります。
また、振り返りで得たデータは業務改善や人材育成にも活用することができます。例えば、アンケートで得られた回答をもとに、若手社員や新人が苦手としていることや、うまくいかないことに対して研修会を新たに計画したり、業務改善を行ったりなど、様々なフォローが可能になります。
この「振り返り」を毎年繰り返すことによって、OJT制度の改善、浸透、定着、他業務・計画の改善を図ることができます。
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今回は、「OJTを生かすための仕組みの整備」についてご紹介しました。
来週は、具体的なOJTでの指導について触れたいと思います。お楽しみに!
大石夏実
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