そのタイムカード導入はちょっと待った!あわせて仕組みによるリスク圧縮を考えましょう

藤田です。

今回の旬のトピックでも取り上げていますが、政府が残業短縮のため、残業代の割増率を125%から150%の引き上げを検討しているというニュースがありました。この政策により、中小企業による「残業隠し」が増加する懸念があることから、あわせて労働基準監督署による企業への監督強化も実施する方向のようです。

東証一部上場の大企業でさえ、残業代未払いリスクはゼロといえる会社がほとんどないのですから、ほとんどの中小企業では「未払い残業代リスク」を抱えていますし、2年間訴求した残業代が数千万円にのぼり、経営が傾いたというケースも実際に起こっています。こうした労務リスクをいかに減らしていくか、という点は今後ますます中小企業の経営にとって重要となるでしょう。

実際、弊社への勤怠管理についての相談も増えています。労働基準監督署も勤怠管理について特に強く指導をしているようです。特に多いのが「これまでは紙の勤怠管理をしていたが、監督署の指導もあり、タイムカード(又はWEB勤怠管理システム)を導入しました」という相談です。

実は「とりあえず、タイムカードや勤怠管理システムを導入する」のは実は大きなリスクを抱えているのです。こうした勤務時間をデジタルで保存するというのは、1分単位で記録が残るということですから、単純に人件費が急増する可能性が高いからです。

労働時間管理ツールを必要する際には、まず過去の勤怠時間から、法律に従うと厳密には払わなければいけなかった給与を算出し、実際の支払う額の差を算出してみることが重要です。その差額が貴社が抱える「労務リスク」の金額です。

特に経営者は、このように管理部門の課題については、金額で表さないと「ピンとこない・危機感が持ちにくい」傾向にありますから・・・。

そのうえで、もちろんそのリスク金額をそのまま支払うのではなく、どう圧縮するかを考えるのです。
例えば、下記のような施策です。

 1.就業規則、就業規定を見直す
 2.自社の組織図を精査し裁量労働制、管理監督職の明確化、個人事業主化等のスキーム検討により、社員のうち、時間管理が必要となる対象者をミニマムにする
 3.人事システムを見直す
 4.本当に必要な残業時間になっているか、管理職への部下のマネジメント研修の実施による啓蒙
 5.決算賞与の充実等による、よりインセンティブに対し報酬を支払い方向性へ変更

このように、人件費の総支払額が暴走しないような仕組みを活用できるスキームをあの手この手でつくっておくことを勤怠管理ツールを導入する際にあわせてお薦めいたします。

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m-sr

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