単発バイトでの注意点を教えてください

1日だけの単発アルバイトを雇用します。労務管理にあたり注意すべき点を知りたいです。

回答

単発バイトであっても雇用契約である以上、労働条件明示義務(労基法15条)が生じ、就業場所・業務の変更の範囲なども明示の対象になります。
掛け持ちを前提とする働き方が多いため、明示書や通知書に「他社で就労する日はその旨と労働時間を申告すること」を盛り込んでおくと、後述する労働時間通算のリスクを抑えられます。

労災については、1日限りの就労でも自動的に適用され、通勤途中の事故も給付対象となり、保険料は全額事業主負担です。
労働保険料の申告時にはスポットワーカーへの賃金も賃金総額に含める必要があり、賃金データを都度管理しておくことが欠かせません。
加えて、初めての現場が多い働き方なので、短時間であっても安全教育と安全配慮義務の履行体制は不可欠です。

雇用保険は、週20時間未満で31日以上の雇用見込みもない典型的な単発では一般被保険者になりません。
日々の雇用が繰り返される場合などには、日雇労働被保険者に該当する可能性があります。
なお令和10年10月からは週の所定労働時間要件が20時間から10時間へ引き下げられる予定で、短時間就労者の適用範囲は将来的に広がります。

社会保険(健康保険・厚生年金)については、「日々雇い入れられる者」や「2か月以内の期間を定めて使用される者」が適用除外とされているため、純粋な単発では原則として適用されません。
ただし、日々雇用が1か月を超えて続いた場合や、当初から2か月超が見込まれる場合・更新で2か月を超える場合には被保険者資格が生じますので、同じ人を反復的に使う場合は注意が必要です。

賃金面では、単発でも地域別最低賃金は当然に適用され、1日の労働が8時間または週40時間を超えれば単発1回であっても時間外割増(25%以上)が必要になり、22時から翌5時の就労には深夜割増(25%以上)も発生します。
労働時間の通算にも注意が要ります。労基法38条1項により事業主が異なっても労働時間は通算されるため、本人が既に他社で就労している日にスポットで働かせ、合計が法定労働時間を超えると割増賃金の問題が生じます。副業・兼業ガイドライン上、割増は原則として後に労働契約を締結した使用者が負担するとされ、後発になりやすいスポット就労先が負担者となるケースがありますので、就労状況の申告を受けて労働時間を把握しておくことが対策になります。

源泉徴収は、日雇賃金として日額表の「丙欄」で計算します。
丙欄が使えるのは、日々雇い入れられる者、または2か月以内の雇用で労働日ごとに算定される給与が対象で、継続して2か月を超えると丙欄から外れて月額表に移ります。
令和8年分では、社会保険料控除後の日額が9,800円未満であれば源泉徴収税額はゼロで、9,800円以上になると丙欄の税額で徴収します(通勤手当の非課税分は課税対象額から除きます)。
この源泉徴収義務は企業規模を問わず生じます。

最後に、源泉徴収の有無とは切り離して押さえておきたいのが源泉徴収票の交付です。
給与を支払った以上、たとえ税額がゼロでも本人への源泉徴収票の交付義務があり(所得税法226条)ます。
掛け持ちで働く人は自ら確定申告をするケースが多く、その際に源泉徴収票が必要です。

以上を踏まえ、単発バイトの適切な労務管理をお願いいたします。
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公開日: 労務管理

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