有給休暇の一斉付与

現在、有給休暇の付与は法令通り行っていますが、4月1日に一斉付与するよう運用の変更を検討しています。その際に気を付けることはありますか?

 

回答

有給休暇の管理を「入社日基準」から「4月1日基準(一斉付与)」へ変更することは、事務負担の軽減に非常に有効です。しかし、労働基準法に抵触しないよう、以下の原則と注意点を正しく理解しておく必要があります。

1. 大原則:法定より「前倒し」であること

  労働基準法では、有給休暇は「入社から6か月経過後」に付与することを義務付けています。
  一斉付与を導入する場合、「本来の付与日よりも遅くなる」ことは一切許されません。
  必ず、法定の付与日よりも「前倒し」で付与する形になります。

2. 移行時の2つの注意点

 ① 第1回目の付与(入社年度)の扱い

  新入社員に対して、本来の「6か月後」を待たずに、4月1日(または入社時)に付与する
  必要があります。

  例:4月1日入社の場合
    本来:10月1日に10日付与
    一斉付与:4月1日に10日付与(又は10月1日に10日付与)、翌4月1日に11日付与

  例:中途入社(10月1日入社)の場合
    本来:翌年4月1日に10日付与
    一斉付与:10月1日に10日付与、翌4月1日に11日付与

 ② 勤続年数の計算(「切り上げ」の原則)

  付与日を前倒しした場合、次回の付与(11日、12日…)へのステップアップも前倒しした
  基準日に合わせる必要があります。

  注意: 法定の「継続勤務期間」の計算において、前倒しした期間は「勤務したもの」として
     扱わなければなりません。

3. 「年5日の確実な消化」義務への影響

  現在、年10日以上の有給が付与される労働者には「年5日の消化」が義務付けられていますが、
  一斉付与への移行期には「重複期間」が発生し、計算が複雑になる場合があります。
  そこで以下の特例があります。
  ダブルトラック(重複期間)の特例:
  付与日が前倒しされることで、前の付与期間と後の付与期間が重なる場合、その期間を合算し
  て按分計算(比例計算)する特例が認められています。

  管理をシンプルにするため、「常に新しい付与日から1年以内に5日」という運用を徹底するこ
  とをお勧めします。

4. 就業規則の改定

  一斉付与を導入するには、就業規則への明記が必須です。
  ①基準日をいつにするか(例:毎年4月1日)
  ②入社年度の社員に対する端数処理(日割計算など)をどうするか
  ③入社時期による付与日数の調整
   例:4月入社は10日、10月入社は5日先行付与+4月に11日付与など

一斉付与のタイミングで経過している年数をもとに付与日数を付与すればよい、という勘違いを
するケースが多く見受けられます。
しかし次の一斉付与までの間に法定で定められている付与の勤続年数を経過するため、必ず前倒しで
法定に定められた有給休暇を付与する必要があることにご注意ください。
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公開日: 労務管理 有給休暇

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