育児休業から復帰する社員に対して役職・給与を変更することはできますか?

育児休業から復帰する者がいます。休職開始前と復帰時で勤務体系、給与などにおいて本人に不利益が生じることは原則、禁止されているものと思いますが、次のようなことは不利益に該当しますでしょうか。

今回復帰する者について、休職前はリーダーだったが、休職にともないリーダーが長期間不在となるため、新たにリーダーを採用した。現在ではリーダーが充足したため、復帰する者をリーダーではない処遇で復帰としたい。リーダーではない場合、役職手当がなくなる。

回答

育児休業法は「復職後に原則として元の職または同等の職に復帰させる義務」を定めています。「リーダー手当がなくなる=給与減額」となるため、原則は不利益取扱いに該当する可能性が高いです。
ただし、休職者のためにポストを空け続けることが業務運営上困難であり、他の従業員との公平性の観点から合理的な理由がある場合、かつ説明・納得を得られるよう対応した場合には、違法とはならない可能性もあります。

以下の様な対応の仕方が必要です。
①復職面談で「本来は元の役職で復帰いただくことが原則だが、現状の組織体制上、ポストが充足している」ことを説明。
②今後のキャリアパスや昇格の可能性を具体的に提示し、本人に安心感を与える。
③一方的に降格処遇を決定するのではなく、本人の合意を得ることが重要。

役職・給与の変更は原則NG。合理的理由があっても、本人との話し合いと合意が不可欠です。万一トラブルになれば「育児休業を理由とする不利益取扱い(育児介護休業法第10条違反)」と見なされるリスクがあります。
今回のようにポストの変動が見込まれる場合には、産休前にその可能性を共有しておくと、従業員の方も復帰後の働き方をイメージしやすくなり、安心につながると思います。
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公開日: 労務管理 育児介護休業

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