前職の賞与との累計、年度上限を超えたら?

1月に中途入社した従業員がいます。前職では昨年4月以降に約500万円の賞与を受け取っており、当社では今年3月にリファラルフィーとして100万円の賞与を支給予定です。
前職分と合算すると標準賞与額の累計が上限(573万円)を超えることになりますが、健康保険料の計算や手続きに関して何か対応が必要でしょうか。

回答

健康保険における標準賞与額の年間累計上限は、毎年4月1日から翌年3月31日までの間に支給された賞与に対して573万円と定められています。
この上限を超える部分には、健康保険料および介護保険料は課されません。

今回のケースでは、
• 前職分:500万円
• 貴社支給予定:100万円
• 合算累計:600万円
• 上限超過額:600万円 - 573万円 = 27万円

この27万円については、本来であれば保険料の対象外となりますが、通常の賞与支払届だけではこの情報が反映されません。
上限を正しく適用するためには、「健康保険標準賞与額累計申出書」を提出する必要があります。

この申出書は、被保険者本人の申出として提出するもので、署名欄も設けられています。前職で受け取った賞与額(例:500万円)を記載することで、貴社で支給予定の100万円のうち、上限を超える27万円について保険料が課されないよう調整することが可能となります。

この申出書は、賞与支払届とあわせて提出します。協会けんぽ加入の場合は日本年金機構、健康保険組合加入の場合は各組合が提出先となります。
原則として、賞与支払届と同時に提出することが求められますが、万が一提出を失念した場合でも、所轄の年金事務所や健康保険組合に相談すれば、後日提出により対応してもらえるケースもあります。

なお、申出書を提出しない場合、100万円の全額が標準賞与額として保険料計算に含まれてしまうため、本来保険料の対象とならない27万円分についても保険料・介護保険料が課されてしまい、結果として、貴社・本人ともに過剰な保険料を納めることとなり兼ねません。

したがって、特に中途入社の従業員に対して比較的大きな額の賞与を支給する予定がある場合は、前職の賞与実績を含め、その年度の賞与累計額が上限573万円を超えないかどうか、事前に本人に確認することが望ましいでしょう。
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公開日: 賞与・退職金

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