労災の申請を拒む従業員への対応はどうすればよいか?
弊社従業員が業務上による事故で怪我をしたのですが、過去に別の職場で労災の申請をされた際に手続きが面倒であったり、労働基準監督署から連絡があって対応しなければいけなかったり、その上で労災に非該当という判断になって健康保険に切り替えたという事があったらしく、今回も大した怪我でもなく病院や薬局でかかった金額も大した額ではない為労災にはしないで欲しい、という要望がありました。こういった場合、会社としてはどのような対応を取るべきでしょうか。
回答
業務上による事故による怪我、とのことですので労災申請をされる必要がある、という回答になるかと存じます。
まずご本人様の立場から考えますと、記載の過去のご経験から手続きが面倒ですとか結局労災にならなかった、という部分で労災申請を消極的に考えられるのはもちろん理解はできます。今回のお怪我がどの程度のレベルなのかが分かりませんが、大した怪我でもなくという記載から現状ではそこまで大きな影響はないのかと思われます。ただ、体のどこに影響が出るかはわかりません。表面的には例えば傷を負った程度で済んでおり、今の時点での医師の診断も大した事はないかもしれません。ですが、今回の事故が影響した後遺症がでて、後ほどでより大きな影響を及ぼさないとも限りません。今は1回の通院で終わったとしても、その後遺症のために何度も病院に通わなくてはならない可能性もございます。その際に労災申請をしていなかったために全て自費で病院代、薬局代を支払わなければならなくなることもあり得なくはありません。そういう風に考えますと、やはり労災として申請をした方が安心できるかと存じます。
また御社側の立場から考えますと、労災が発生していてそれを届け出ないのはいわゆる「労災隠し」として問題になります。労災に当たるか否かは業務起因性、業務遂行性が認められるかを労働基準監督署が判断するものであり、結果として労災にならないという事も考えられますが、申請をしなければ労働基準監督署も判断は出来ません。また他の社員の方からみると、業務上に怪我をしているのに会社は労災として申請をしないのか、と不信感を与えてしまう事にも繋がりかねません。
今の時点で病院、薬局にかかられているような記載でしたので、ご本人様が病院や薬局に業務上のお怪我であることを伝えていないのではないかと思われます。健康保険法では【労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。】と定められており、労災の際には健康保険は使えない、という事になります。速やかに病院、薬局に労災である事を伝え、その後どのようにすべきかの指示を受けるようにしてください。時期等によって書類を持っていけば労災に切り替えてもらえることもありますし、一度健康保険使用分の差額を支払うように指示される事もあります。労災指定病院か否かなどにも寄りますので、作成する様式もそれに合わせて変えるようにしてください。
ご本人様には法律上決まっているから労災として申請しなければならない、というお伝えの仕方ではなく労災として申請することによるメリットをお伝えし、会社としてもご本人様のお手続きに面倒が出来るだけ生じないようバックアップをする等のケアをされると良いかと存じます。
まずご本人様の立場から考えますと、記載の過去のご経験から手続きが面倒ですとか結局労災にならなかった、という部分で労災申請を消極的に考えられるのはもちろん理解はできます。今回のお怪我がどの程度のレベルなのかが分かりませんが、大した怪我でもなくという記載から現状ではそこまで大きな影響はないのかと思われます。ただ、体のどこに影響が出るかはわかりません。表面的には例えば傷を負った程度で済んでおり、今の時点での医師の診断も大した事はないかもしれません。ですが、今回の事故が影響した後遺症がでて、後ほどでより大きな影響を及ぼさないとも限りません。今は1回の通院で終わったとしても、その後遺症のために何度も病院に通わなくてはならない可能性もございます。その際に労災申請をしていなかったために全て自費で病院代、薬局代を支払わなければならなくなることもあり得なくはありません。そういう風に考えますと、やはり労災として申請をした方が安心できるかと存じます。
また御社側の立場から考えますと、労災が発生していてそれを届け出ないのはいわゆる「労災隠し」として問題になります。労災に当たるか否かは業務起因性、業務遂行性が認められるかを労働基準監督署が判断するものであり、結果として労災にならないという事も考えられますが、申請をしなければ労働基準監督署も判断は出来ません。また他の社員の方からみると、業務上に怪我をしているのに会社は労災として申請をしないのか、と不信感を与えてしまう事にも繋がりかねません。
今の時点で病院、薬局にかかられているような記載でしたので、ご本人様が病院や薬局に業務上のお怪我であることを伝えていないのではないかと思われます。健康保険法では【労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。】と定められており、労災の際には健康保険は使えない、という事になります。速やかに病院、薬局に労災である事を伝え、その後どのようにすべきかの指示を受けるようにしてください。時期等によって書類を持っていけば労災に切り替えてもらえることもありますし、一度健康保険使用分の差額を支払うように指示される事もあります。労災指定病院か否かなどにも寄りますので、作成する様式もそれに合わせて変えるようにしてください。
ご本人様には法律上決まっているから労災として申請しなければならない、というお伝えの仕方ではなく労災として申請することによるメリットをお伝えし、会社としてもご本人様のお手続きに面倒が出来るだけ生じないようバックアップをする等のケアをされると良いかと存じます。
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公開日:
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