企業に求められるLGBTへの対応、配慮とは?

当社ではダイバーシティ推進の一環として、LGBTの方が入社された際の会社の受け入れ体制について整備を進めています。

 

現状としては社内にLGBTの社員はいない(会社にカミングアウトしている人がいない)ため全くのゼロベースからの対応となります。

他社の例を見ると、制服制度の撤廃やユニバーサルトイレの導入などが散見されますが、正直なところ企業によるLGBTへの対応の重要性あまり理解できずにいます。

 

そこで、LGBTへの対応における企業(人事)の必要性・留意点を教えていただけたらと思います。

回答

LGBTとは、「性の多様性」、「性のアイデンティティ」を肯定的に認めようとする動き、文化、そしてレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー当事者を総称する言葉です。また、前記の性自認に該当しないセクシャルマイノリティ全般を指す「クィア」を加えてLGBTQと呼ぶこともあります。

LGBTへの対応、理解は今や民間に留まらず、企業にも求められます。日本国内のLGBT人口比率は5%~8%と言われ、訳13人~20人に一人はLGBTに該当するとされます。

日本の法制度は、基本的に性別を「男性」「女性」という2つの性別のみを前提としていますが、13人~20人に一人はLGBTに該当することを考慮すると、使用者は職場内には見えていないだけでLGBT当事者がいるということを前提に対応を考える必要があります。

特に、使用者は、2020年6月1日より職場におけるパワーハラスメント防止措置が使用者の義務となりますが、その指針の中で職場におけるパワーハラスメントに該当すると考えられる例として「労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する」(アウティング)と明記されたことから、性的指向・性自認に関する性的言動についてのハラスメントの禁止を就業規則に規定化することが求められています。

以上から、企業によるLGBTに該当する従業員への対応・配慮は社会的な義務と言えます。

法律的な位置づけとしては上記のとおりですが、それ以外にも十分なLGBTへの対応は生産性の向上に繋がる、企業の魅力としての採用効果・既存社員の離職防止が期待される等の調査結果もあります。

LGBT対応の企業例は数多くあげられますが、ゼロから対応を講じるとなると何から始めていいのかわからないといった声もあるかと思いますが、そういった場合には「PRIDE指標」を参考にしてみるとよいでしょう。
work with Pride「PRIDE指標について」
本指標ではLGBTに関する取り組みについて具体的に評価項目が設定されています。まずは自社に導入しやすい取り組みからはじめてみてはいかがでしょうか。

最後に、LGBTの対応はLGBTのためだけではなく、そのほかの社会的マイノリティの人たちへの理解と働き甲斐にも繋がります。全ての従業員にとって働きやすい職場の実現は非常に難しいですが、少なくとも社会的マイノリティへの偏見や差別をなくすことが今企業に求められることだと言えるでしょう。
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