過払いしていた通勤手当は返金請求できるか
当社では従業員の届出に応じて交通費を確認し支給しています。
ある社員が、2年間、従来の届出とは異なる場所(徒歩で通える範囲)から通勤していたことがわかりました。住民票の異動もしていないということです。
通勤手当を確認しましたところ過払いになっていましたので、この分について返金請求を進めようとしておりますが、法的には問題ございませんでしょうか?
回答
社員が転居に伴う通勤経路の変更を会社に届出でを忘れてしまっていたり、または故意に届出をせず通勤費を不正に受給するケースは実際に存在するかと思います。
まず、返還請求消滅時効期間は2年(労働基準法115条)ですが、使用者から労働者に対する過払い部分についての不当利得返還請求権の消滅時効期間は原則として10年とされています(民法167条1項)。 従いまして、2年前の過払いした通勤費の返金を求めることは可能です。
次に、過払いが生じた場合の返還方法として以下の方法が考えられます。
①本人から直接返還してもらう(会社の口座に振り込む等)
②給与から控除する
②で控除する場合は以下の注意が必要です。
労働基準法24条「賃金全額払い」が原則とされております。
過払い分を賃金から控除する場合は、その旨の内容を労使協定で締結していることが必要です。
ただし、今回のケースでは過去2年間といった長期間にわたり、かつ過払い金額の記載はございませんが多額になっていることと思います。
一賃金支払期の控除額が高額になる場合には、控除の金額や期間について社員とよく話し合い、別途個別の同意を得て、書面に残した上で給与から控除することが望ましいでしょう。
また今回のケースでは正当な届出をしていないことが故意または過失の判断は出来かねますが、故意であれば就業規則に則り、懲戒処分の検討も必要でしょう。
まず、返還請求消滅時効期間は2年(労働基準法115条)ですが、使用者から労働者に対する過払い部分についての不当利得返還請求権の消滅時効期間は原則として10年とされています(民法167条1項)。 従いまして、2年前の過払いした通勤費の返金を求めることは可能です。
次に、過払いが生じた場合の返還方法として以下の方法が考えられます。
①本人から直接返還してもらう(会社の口座に振り込む等)
②給与から控除する
②で控除する場合は以下の注意が必要です。
労働基準法24条「賃金全額払い」が原則とされております。
過払い分を賃金から控除する場合は、その旨の内容を労使協定で締結していることが必要です。
ただし、今回のケースでは過去2年間といった長期間にわたり、かつ過払い金額の記載はございませんが多額になっていることと思います。
一賃金支払期の控除額が高額になる場合には、控除の金額や期間について社員とよく話し合い、別途個別の同意を得て、書面に残した上で給与から控除することが望ましいでしょう。
また今回のケースでは正当な届出をしていないことが故意または過失の判断は出来かねますが、故意であれば就業規則に則り、懲戒処分の検討も必要でしょう。
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