労基法改正でフレックスタイム制・裁量労働制はどう変わるか

これまで、3回のシリーズに分け、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制など

労働時間や社員の働き方に関する制度についてご紹介してきました。

 

今回は、そのまとめと、今回の労働基準法の改正でどのような変更がなされるのかをご紹介していきます。

それぞれを改めて整理!

変形労働時間制:

一定の単位期間について、週あたりの平均労働時間が週法定労働時間の枠内に収まっていれば、1週または1日の法定労働時間の規制を解除することを認める制度。

 

たとえば、単位期間を4週間とした場合、月末の週につき所定労働時間を43時間と設定しても、その他の週の労働時間を短くすることにより、その月における週あたりの平均労働時間を40時間以内に収めれば、所定労働時間が43時間の週について、労働時間が40時間を超えるときでも(43時間以内に収まっているかぎり)労働基準法32条1項には違反しないものとして扱われます。

 

 

 フレックスタイム制:

フレックスタイム制とは、労使協定に基づき、原則として労働者が各自の始業時刻と終業時刻を自由に決められる制度です。

このフレックスタイム制では、1日8時間・1週40時間の労働時間規制の代わりに、清算期間における労働時間の合計によって時間外労働の有無が判断されます。

 

 

裁量労働制:

業務の遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に携わる労働者について、

労働時間の計算実労働時間ではなく、みなし時間によって行うことを認める制度です。

つまり、実際の勤務時間と関係なく、あらかじめ決められた時間を働いたとみなし、給与を支払うという事です。

 

この裁量労働制は、主に、労働時間の長さではなく、労働の質や成果によって評価を行うことを認めるべき職種に取り入れられます。近年、「成果主義」や「実力主義」が強調されるケースが増え、それに関連して、業務の遂行手段および時間配分を従業員にゆだねる「裁量労働制」が注目されるようになり導入する企業が増加しています。

 

 

 

~労働基準法改正のポイント~

1.中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止

2.健康確保のために時間外労働に対する指導の強化

3.年次有給休暇の取得促進

4.フレックスタイム制の見直し

5.企画業務型裁量労働制の見直し

6.特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設

7.企業単位での労使の自主的な取組の促進

 

ここから先は、労働基準法改正ポイントの ④ ⑤ に注目していきます!

 

フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に

 

改正労働基準法にフレックスタイム制の見直しが盛り込まれており、2016年(平成28年)4月1日から改正されたフレックスタイム制が施工される予定です。

しいフレックスタイム制ではこれまで1ヶ月だった清算期間の上限が3ヶ月まで延長されます。1ヶ月という枠内を超え、最長3ヶ月の中で労働時間の配分が可能となり、ますます柔軟な働き方ができるようになります。

 

フレックスタイム制の改正は時間外労働や休日出勤にも関係していて、これまでの1ヶ月という清算期間では法定労働時間を超えた労働が発生していた場合でも、3ヶ月という清算期間内で労働時間を調整することにより、残業や休日出勤を避けた働き方ができます。

 

例えば業務が多忙な月は一月の労働時間が通常より多くなっても、翌月の労働時間を減らせば法定労働時間内に収まります。

 

企業がフレックスタイム制を導入するメリットは、閑散期は早めに退社して、繁忙期に閑散期の労働時間を配分できる点です。3ヶ月の中で労働時間が調整できる新しいフレックスタイム制は、労働者にとっても企業にとっても柔軟な働き方が可能になるため、導入企業が増加することが期待されます。

 

企画業務型裁量労働制の対象業務の追加
~「課題解決型提案営業」「裁量的にPDCA
を回す業務」~

今までの企画業務型裁量労働制に関しては、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」に該当する労働者が非常に限定されており、企業の実態と乖離して円滑な制度の導入や運用が難しいとの指摘がありました。

こうした声を受け、「労働者が主体性をもって働けるようにする」という制度本来の趣旨に即した活用が進むよう、以下の2つの業務が対象に追加することになりました。

 

① 法人顧客の事業の運営に関する事項についての企画立案調査分析と一体的に行う商品やサービス内容に係る課題解決型提案営業の業務

(例)「取引先企業のニーズを聴取し、社内で新商品開発の企画立案を行い、当該ニーズに応じた課題解決型商品を開発の上、販売する業務」等
②事業の運営に関する事項の実施の管理と、その実施状況の検証結果に基づく事業の運営に関する事項の企画立案調査分析を一体的に行う業務

(例)「全社レベルの品質管理の取組計画を企画立案するとともに、当該計画に基づく調達や監査の改善を行い、各工場に展開するとともに、その過程で示された意見等をみて、さらなる改善の取組計画を企画立案する業務

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大石夏実

新卒採用業務の経験を積んだのち運用Gへ異動。大小様々な規模の企業の社会保険手続き等に携わりながら、もっと深堀したいこと、より詳しく紹介したいことを記事にしていきます。

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