管理部門の負荷が増える? 本当は恐ろしい、個人住民税の給与天引き義務化。
これまで、多くの会社で個人の住民税を特別徴収にすることを回避してきました。その動機の最たるものが、管理部門のオペレーションに負荷がかかるという動機です。今回は、住民税をテーマに最新動向をレポートします。
個人の住民税は、地方自治体が毎年1月31日までに会社から回収する「給与支払報告書」によって税額が決定します。税額の決定方法についてはこちら。
自治体が算出した個人住民税は、自治体が毎年5月30日までに会社または個人に対して税額と納付方法を通知します。個人住民税を個人に納付させる方法を普通徴収、個人にかわって会社に納付させる方法を特別徴収といいます。
地方税法では、給与から源泉所得税を天引きしている会社は個人の住民税を個人に代わって会社が納付することとされています。
【地方税法第321条の4第1項】 市町村は、(省略)特別徴収の方法によって個人の市町村民税を徴収しようとする場合においては、(省略)当該年度の初日において同条の納税義務者に対して給与の支払をする者(省略)のうち給与の支払をする際所得税を徴収して納付する義務がある者を当該市町村の条例によつて特別徴収義務者として指定し、これに徴収させなければならない。
どのような会社が特別徴収を免除されるのでしょうか。給与所得がある方は、原則として特別徴収により納税することとなっていますが、下記の方は特別徴収の対象になりません。
A.総従業員数が2以下の事業所
(他の市町村を含む事業所全体の受給者の人数で、以下のB~Eの理由に該当して普通徴収とする対象者を除いた従業員 数。常時2人以下の家事使用人のみに対して給与等の支払をする者など。)
B.他から支給される給与から個人住民税が特別徴収されている方
(給与所得者が、複数の事業所から給与を支給されている場合、各市町村で取扱いが異なる場合があります。)
C.給与が毎月支給されていない方
(給与の支給期間について1月を超える期間としている方、毎月の給与支払額が少額であり特別徴収できない方を含みます。)
D.専従者給与が支給されている方
E.退職された方または給与支払報告書を提出した年の5月31日までに退職予定の方
(休職等により4月1日現在で給与の支払を受けていない方を含みます。)
上記のケースに当てはまらない場合には、会社は個人の住民税を特別徴収することを避けられません。さらに、今年度では、特別徴収の義務化を推進する宣言を都道府県が連名で行っています。
特別徴収義務化の徹底に関しては、地方自治体によって多少のばらつきはあるものの数年内に実現されるものと考えられます。たとえば埼玉県、千葉県では平成27年の6月から、特別徴収を原則として対応する旨のニュースリリースがでています。
住民税の特別徴収義務化に対するご準備についてのご相談はこちらまでお寄せください。
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