【必見‼】研修を設計するときに考えるべき4つのエッセンス

 

今回は「経営に役立つ研修」と題して、働く大人の学びを研究する東京大学大学総合教育研究センター准教授 中原淳著の「研修開発入門」をご紹介したいと思います!

 

人事担当者であれば、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。中原准教授は、まだ日本では研究の進んでいない分野である企業・組織における人々の学習、コミュニケーション、リーダーシップの分野で、企業や各種団体と連携しながらセミナー開催やワークショップ開発、著作活動を積極的に行っています。私も著書を読んだことがありますが、興味深く読めた記憶があります。

 

そんな中原准教授が、研修開発担当者へ送る、企業内で自社にピッタリな社内研修を企画立案する際に必要な4つのエッセンスをご紹介いたします。

 

 

1.ニーズを探そう

もったいぶって何を当然のことを・・・と感じている方もいらっしゃるかもしれません。人材開発担当者の下には、経営層や現場から様々な人材育成に関わるリクエストが寄せられていると思います。しかし、それを鵜呑みにしてただ単に研修を企画しても、成果に結びつく研修ができることは少ないと言います。人材開発担当者は、寄せられたニーズを基に自分の足で現場を訪ね、社内を歩き回って「何が真の問題なのか」をしっかりと見極める必要があります。寄せられるニーズの中には、現場社員の思い込みであったりすることがあり、経営戦略など会社全体を踏まえたニーズになっていない場合があるからです。

 

次の3つの視点から社内のニーズを深掘りすると良いとしています。

①経営層のニーズ

組織的に決定された経営戦略からブレイクダウンされる研修ニーズ

②現場のニーズ

現場発の主に事業に関係する研修ニーズ

③人事のニーズ

長期的視野に立ち、組織の中核能力を維持し、優秀な社員を引きつけておくための研修ニーズ

 

 

組織の発達段階によって、会社内には様々なニーズがちりばめられているでしょう。社内の人材開発担当者が研修を企画する第1ステップは、自ら現場へ足を運び、組織内を歩き回って真のニーズを探索する事です。この時、声にならないニーズと失われたニーズにも着目すると良いとしています。

 

声にならないニーズは、はっきりとニーズとして語られないことであっても、中長期的視点に立った際に組織に必要なニーズとして位置づけられる可能性があります。また、研修は失われたニーズに基づいて惰性で行われている場合があります。すでに不要となっているにもかかわらず毎年繰り返されている研修はないか、常に現状のニーズにマッチしているか、という視点でニーズの探索を行うことも重要です。

 

 

2.人材マネジメント施策の検討

研修の企画をしていたはずなのに、なぜ人材マネジメントを検討しなければならないのでしょうか。人材育成の手段には研修以外にも様々な方法があるなかで、社内を練り歩いて発見した真のニーズは、本当に研修で解決すべきことなのかを検討することにより、よりよい人材育成を行うことができると示唆しています。

 

組織内で上がってくる人材に関する課題は、研修では解決できないこともありますし、研修と他の人材マネジメント施策を組み合わせて解決するべき課題もあります。社内のニーズを自分の担当人事業務でなんでも解決しようとするのではなく、人材マネジメントの視点から社内と連携して全方位的な解決策を見つけることが重要です。

 

 

3.学習者の分析

人材マネジメントの視点から、研修が最も効果的な手段であると判断された場合、研修の対象者を明確にし以下の視点から分析を行います。

 

  1. 対象者:どのような社員を研修対象とすれば研修の目的を達成できるか
  2. 参加人数・参加単位:「各職場から2人ずつ」「職場単位」「個人」など
  3. 期間・場所・コスト:現実的に運営可能な手段を立案
  4. ソーシャルサポート:職場の上司・先輩・同僚などから協力が得られるか
  5. 望まれる効果と予想される困難:研修を行うことによるメリット・デメリットなど

 

ここでのポイントはやはり、学習者を知る、ということです。研修テーマについて学習者がどれほどの知見を有しているのか、現場ではどのような研修テーマに関連した課題があるか、事前にインタビューやアンケートによる調査を行うことで、現場に即した研修を行うことができます。

 

 

4、「経営陣」と「現場トップ」のステークホルダー化

簡単に言うと「研修の利害関係者である経営陣や現場マネジャーらに対し、なるべく早い時期から『このニーズ、課題に対応するために、今こんな研修を企画しています』といった報告や提案などを行い、後から協力が得られやすいようにしておく」ことです。

 

研修の企画段階から経営陣や現場マネジャーなど利害関係者を巻き込み、「お墨付き」を得られるかどうかで、その研修企画の組織内での位置づけは大きく変わりますし、それによって研修参加者のモチベーションも左右されるからです。

 

また、研修を持続していく上でも、経営陣や現場マネジャーに、早い段階から研修企画の背景や問題意識、企画の意図などを伝えて当事者として「同じ船に乗ってもらう」ことで、研修の終了後、研修報告を行う際も、理解されやすい、というメリットがあります。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。毎年同じテーマ、同じ講師、同じ対象者で研修を行っているならば、それは組織の黄色信号かもしれません。ぜひこれをきっかけに、成果につながる研修をつくりましょう!

 

 

 

 

The following two tabs change content below.

堀越 敬太

給与計算、社会保険手続にて3000名から100名までの規模を経験し業務フローの改善に従事する傍ら、社内研修の運営にも参画。人事情報のトレンドをお届けいたします。

最新記事 by 堀越 敬太 (全て見る)


公開日:

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑